EMC(Electromagnetic Compatibility)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

EMC(Electromagnetic Compatibility)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

EMC(Electromagnetic Compatibility)とは

EMC規格の種類と概要

「EMC規格の種類と概要」に関して、以下を解説していきます。

  • EMC規格(国際規格)
  • EMC規格(国内規格)

EMC規格(国際規格)

EMC規格の国際規格は、国際電気標準会議(IEC)が策定するIEC規格が代表的です。IEC規格は、世界各国で整合性が図られており、国際的な取引において重要な役割を果たします。IEC規格に準拠することで、製品が国際的なEMC要件を満たしていることを証明できます。

IEC規格は、EMCに関する基本的な要求事項や試験方法を規定しており、製品の種類や用途に応じて様々な規格が存在します。例えば、情報技術機器、産業機器、医療機器など、それぞれの分野に特化したEMC規格が存在し、製品設計者はこれらの規格を理解し、適切に対応する必要があります。

規格名概要対象製品
IEC 61000-6-3住宅環境における放射エミッション規格家電製品
IEC 61000-6-4産業環境における放射エミッション規格産業用機械
IEC 61000-4-3放射無線周波電磁界イミュニティ試験電子機器
CISPR 11産業科学医療(ISM)機器のエミッション規格高周波利用設備

EMC規格(国内規格)

EMC規格の国内規格は、各国がそれぞれの法規制や技術基準に基づいて定めています。日本では、電波法や電気用品安全法などがEMCに関連する規制を含んでおり、これらの法律に基づいて技術基準適合認定や適合性検査が行われます。国内で製品を販売する際には、これらの国内規格に適合している必要があります。

日本のVCCI(情報処理装置等電波障害自主規制協議会)は、情報機器に対するEMC規格を自主的に定めており、VCCIマークの表示は、製品が一定のEMC要件を満たしていることを示すものです。VCCI規格は、強制的なものではありませんが、多くの企業が製品の信頼性向上のためにVCCI規格に準拠しています。

規格名概要対象製品
VCCIクラスA情報機器の放射妨害波規格(業務用)ビジネス機器
VCCIクラスB情報機器の放射妨害波規格(家庭用)家庭用機器
電波法無線設備の技術基準無線通信機器
電気用品安全法電気製品の安全確保電気製品

EMC対策の基本と重要性

EMC(Electromagnetic Compatibility)とは、電子機器が電磁環境において、他の機器に悪影響を与えずに、自身も正常に動作する能力のことです。EMC対策は、電子機器の設計・製造において不可欠であり、製品の信頼性や安全性を確保するために重要な役割を果たします。EMC対策を怠ると、機器の誤動作や故障、さらには人への健康被害を引き起こす可能性があります。

EMC対策は、エミッション(放出)とイミュニティ(耐性)の2つの側面から考慮する必要があります。エミッション対策は、電子機器から発生する不要な電磁ノイズを抑制することであり、イミュニティ対策は、外部からの電磁ノイズに対する耐性を高めることです。これらの対策を適切に行うことで、電子機器は電磁環境において安定した動作を維持できます。

EMC対策は、製品の企画段階から設計、製造、評価に至るまで、一貫して取り組む必要があります。初期段階でEMC対策を考慮することで、後工程での修正コストを削減し、効率的な製品開発を実現できます。また、EMC試験を実施し、規格に適合していることを確認することも重要です。EMC対策は、単なる技術的な課題ではなく、製品の品質と信頼性を保証するための重要なプロセスです。

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