
目次
記事の要約
- Quastellaが細胞産業向け品質管理AIシステムCytometaを展開
- Dual Bridge Capitalなど2社から第三者割当増資を実施
- 細胞培養の品質評価をデータに基づき効率化
細胞産業の品質管理AIシステムCytometaを展開するQuastellaが資金調達を実施
名古屋大学発ベンチャーの株式会社Quastellaは、細胞産業向け品質管理AIシステム「Cytometa」を展開しており、事業拡大と採用強化を目的とした組織構築を加速させている。2025年4月28日、株式会社Dual Bridge Capitalが運営するDBC1号投資有限責任組合と、NOBUNAGAキャピタルビレッジ株式会社が運営するNOBUNAGA Growing Fund 投資事業有限責任組合の計2社を引受先とする第三者割当増資を実施した。
Cytometaは、再生医療や培養肉といった新興の細胞産業に加え、創薬研究や化粧品・農薬の開発などの分野で活用できるよう、細胞の状態を日常的に正確かつ効率的に把握・管理できるAIベースの品質評価システムだ。このシステムは、細胞画像をAIで解析し、状態や傾向を定量的に評価・可視化することで、属人的な判断をデータに基づく意思決定へと置き換えることを可能にする。
2024年8月に正式リリースされたCytometaは、すでに再生医療関連企業、細胞培養加工施設、細胞培養容器メーカーなどに導入されており、細胞を扱う事業者で広く活用されている。今後は、より大規模な製造体制を担うCDMO事業者をはじめとする細胞製造現場への導入を推進し、細胞産業全体における品質管理の標準化と効率化の実現を目指す。
Cytometaの主な機能と導入効果
機能 | 詳細 |
---|---|
AI画像解析 | 細胞画像をAIで解析し、状態や傾向を定量的に評価・可視化 |
品質評価 | 細胞の状態を日常的に正確かつ効率的に把握・管理 |
データに基づく意思決定 | 属人的な判断をデータに基づく意思決定へ転換 |
品質安定性向上 | 製造や評価のばらつきを抑制し、品質の安定性を向上 |
作業効率化 | 目視観察が不要となり、作業の効率化と省人化に貢献 |
ノウハウ蓄積 | 評価記録の蓄積により、自社ノウハウ蓄積や外部への説明性が向上 |
第三者割当増資について
第三者割当増資とは、企業が特定の第三者に対して株式を割り当てることで資金調達を行う方法のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 特定の投資家との関係強化
- 迅速な資金調達が可能
- 経営の自由度が高い
Quastellaの今回の第三者割当増資は、Dual Bridge CapitalとNOBUNAGAキャピタルビレッジという2社の投資家を引受先として実施された。この資金調達により、Quastellaは事業拡大と採用強化に向けた組織構築を加速させる予定だ。
Cytometaの品質管理AIシステムに関する考察
QuastellaのCytometaは、細胞産業における品質管理の課題を解決する可能性を秘めている点で非常に有望だ。特に、属人的な判断に頼っていた細胞培養の品質評価を、AIによるデータに基づいた客観的な評価へと転換することで、品質の安定化や効率化に大きく貢献することが期待される。
今後の課題としては、AIの学習データの偏りによる評価の偏りや、システム導入コストの高さなどが考えられる。これらの課題に対しては、多様な細胞データを用いたAIの学習や、クラウドベースでのシステム提供による導入コストの低減などが有効な解決策となるだろう。
将来的には、Cytometaが細胞産業における品質管理の標準となり、再生医療や培養肉などの分野の発展を加速させることを期待したい。また、AI技術の進化により、より高度な細胞解析や品質予測が可能になることで、細胞産業全体の生産性向上に貢献することを期待する。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「細胞産業の品質管理AIシステム「Cytometa」を展開するQuastella、資金調達を実施 | 株式会社Quastellaのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000127593.html, (参照 2025-04-29).