NTTがIOWN APNでオンデマンド接続技術を実証、映像制作の効率化とネットワークの柔軟性向上へ

記事の要約

  • NTTがIOWN APNでオンデマンド接続の基本技術実証に成功
  • 必要な時に必要な場所からAPNへタイムリーに接続可能
  • 映像リモートプロダクションなど多様なユースケースに対応

NTT、IOWN APNにおけるオンデマンド接続の基本技術実証に成功

日本電信電話株式会社(NTT)は、IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)APN(All-Photonics Network)において、任意の場所から必要な時だけタイムリーにAPNに接続する基本技術の実証に2025年4月25日に成功した。この技術は、将来のAPNで実現する新たな接続形態として、機器を接続するだけで大容量・低遅延の光パスを利用できるとともに、既存ネットワークを有効活用した効率的な光パスの提供を可能にする。

今回の実証では、スポーツの試合映像を放送局に送るユースケースを想定し、開催地が変わるたびに作業者を派遣することなく、撮影機材をAPNに接続するだけで編集拠点へのデータ送信が可能になることを確認した。また、ユーザが使いたい場所で使いたいときに、APNに機材をつなぐだけで自動的に接続できるプラグ&プレイ機能や、既存設備をそのまま使用して新たなサービスを提供可能な波長帯変換機能の基本機能実証にも成功している。

IOWN APNオンデマンド接続実証の概要

項目詳細
目的任意の場所から必要な時にAPNへオンデマンド接続
ユースケーススポーツ中継における映像リモートプロダクション
主な機能プラグ&プレイ機能、波長帯変換機能
実証内容遠隔のデータ送受信機をAPNに接続し光パスをオンデマンド接続
今後の展開2028年度以降のサービス提供を目指し商用化開発

IOWN APNについて

IOWN APNとは、NTTが提唱するIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想の中核をなす、オールフォトニクス・ネットワークのことである。主な特徴は以下の通りだ。

  • 大容量・低遅延の光パスを提供
  • 消費電力を抑制
  • インタラクティブなライブ映像配信などを実現

IOWN APNは、光技術を最大限に活用することで、従来のネットワークでは困難だった高度なサービスを実現することが期待されている。NTTは、2028年度以降のサービス提供を目指し、IOWN APNの商用化開発を進めていく方針だ。

IOWN APNオンデマンド接続に関する考察

NTTがIOWN APNにおけるオンデマンド接続の基本技術実証に成功したことは、ネットワークの柔軟性と効率性を高める上で大きな意義を持つ。特に、スポーツ中継などの映像リモートプロダクションにおいては、場所や時間に制約されることなく高品質な映像伝送が可能になるため、制作コストの削減やコンテンツの多様化に貢献するだろう。

一方で、オンデマンド接続の普及には、セキュリティ対策の強化やネットワークの安定運用が不可欠となる。不特定多数の場所からの接続を許容する仕組みであるため、不正アクセスやDoS攻撃などのリスクを考慮し、適切な認証システムや監視体制を構築する必要があるだろう。また、災害時などにおけるネットワークの可用性を確保するための冗長化設計やバックアップ体制も重要になる。

今後は、IOWN Global Forumなどを通じて、APNの機能実証や普及展開を推進していくことが期待される。オープンなインターフェース規格に基づいた多様な装置との連携を可能にすることで、より柔軟で拡張性の高いネットワーク環境を実現し、新たなユースケースの創出につなげることが重要だろう。

参考サイト/関連サイト

  1. NTT.「IOWN APNにおいて、任意の場所から、必要な時だけタイムリーにAPNに接続する基本技術実証に成功 | ニュースリリース | NTT」.https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/04/25/250425a.html, (参照 2025-04-29).

関連タグ