目次
記事の要約
- TP-Link EAP120ルーターのSQLインジェクション脆弱性が報告
- サプライヤー提供のエミュレーターでのみ再現可能
- アクセス制御がない環境でのみ問題が発生
TP-Link EAP120ルーターにSQLインジェクションの脆弱性CVE-2025-29648
TP-Link EAP120ルーターのログインダッシュボードバージョン1.0に、SQLインジェクションの脆弱性CVE-2025-29648が存在することが2025年4月16日に発表された。この脆弱性により、認証されていない攻撃者がログインフィールドを介して悪意のあるSQLステートメントを注入できる可能性がある。
ただし、この問題はサプライヤーが提供するエミュレーターでのみ再現可能であり、実際の製品環境ではアクセス制御が存在するため、脆弱性の影響は限定的であるとされている。このエミュレーターは、機能テストを容易にするために意図的にアクセス制御を無効にしている。
この脆弱性は、MITRE CorporationによってCNA(CVE Numbering Authority)として登録され、2025年4月23日に更新された。CVSS 3.1スコアは7.3(HIGH)と評価されており、攻撃の容易さや影響度を考慮すると注意が必要だ。
CVE-2025-29648脆弱性の詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
CVE ID | CVE-2025-29648 |
対象製品 | TP-Link EAP120 router (version 1.0) |
脆弱性の種類 | SQL Injection (CWE-89) |
CVSS v3.1スコア | 7.3 (HIGH) |
攻撃元区分 | ネットワーク (AV:N) |
ユーザ関与 | 不要 (UI:N) |
SQLインジェクション(SQL Injection)について
SQLインジェクションとは、アプリケーションのセキュリティ上の欠陥を悪用し、データベースに対して不正なSQLコマンドを実行する攻撃手法のことを指す。主な特徴は以下の通りだ。
- Webアプリケーションの脆弱性を利用
- データベース内の情報を不正に取得・改ざん
- 認証回避や権限昇格に悪用される可能性
SQLインジェクションは、入力値の検証不備や不適切なエスケープ処理が原因で発生することが多い。適切な対策としては、入力値の厳格な検証、プリペアドステートメントの使用、最小権限の原則の適用などが挙げられる。
TP-Link EAP120ルーターのSQLインジェクション脆弱性に関する考察
TP-Link EAP120ルーターのSQLインジェクション脆弱性は、サプライヤー提供のエミュレーターでのみ再現可能という点で、実際の運用環境への影響は限定的と考えられる。しかし、エミュレーターでの再現が可能であるということは、潜在的なリスクが存在することを示唆しているだろう。
今後は、ファームウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用を通じて、この脆弱性を根本的に解消することが望まれる。また、開発段階でのセキュリティテストの強化や、脆弱性情報の共有体制の整備も重要になるだろう。
さらに、ユーザー自身もルーターのセキュリティ設定を見直し、不要なポートの開放やデフォルトパスワードの変更などの対策を講じることが重要だ。セキュリティ意識の向上と適切な対策によって、より安全なネットワーク環境を構築することが可能になる。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2025-29648」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-29648, (参照 2025-04-29).