TP-Link M7650にSQLインジェクション脆弱性CVE-2025-29651、ただし再現性に議論の余地あり

記事の要約

  • CVE-2025-29651はTP-Link M7650のSQLインジェクション脆弱性
  • 未認証の攻撃者が悪意のあるSQL文を挿入可能
  • サプライヤー提供のエミュレーターでのみ再現されると指摘

TP-Link M7650 4G LTEモバイルWi-FiルーターにSQLインジェクションの脆弱性CVE-2025-29651

MITRE Corporationは、TP-Link M7650 4G LTEモバイルWi-Fiルーターのファームウェアバージョン1.0.7 Build 170623 Rel.1022nにSQLインジェクションの脆弱性CVE-2025-29651が存在することを発表した。この脆弱性により、認証されていない攻撃者がユーザー名とパスワードフィールドを介して悪意のあるSQL文を挿入することが可能になる。

ただし、この問題はサプライヤーが提供するエミュレーターでのみ再現可能であり、機能テストを容易にするためにアクセス制御が意図的に存在しない環境でのみ発生すると指摘されている。このため、脆弱性の存在については議論がある状況だ。

この脆弱性はCVSSv3.1スコアで9.8(クリティカル)と評価されており、ネットワーク経由で容易に悪用可能で、機密性、完全性、可用性に重大な影響を与える可能性がある。CISA-ADPは2025年4月24日に情報を更新し、SSVCとKEV、CVSS、CWEを提供している。

CVE-2025-29651に関する詳細

項目詳細
CVE IDCVE-2025-29651
対象製品TP-Link M7650 4G LTE Mobile Wi-Fi Router
ファームウェアバージョン1.0.7 Build 170623 Rel.1022n
脆弱性SQL Injection
CVSS v3.1スコア9.8 (Critical)
CWECWE-89 Improper Neutralization of Special Elements used in an SQL Command (‘SQL Injection’)
CVE-2025-29651の詳細はこちら

SQLインジェクションについて

SQLインジェクションとは、アプリケーションのセキュリティ上の欠陥を悪用し、データベースに対して不正なSQLコマンドを実行する攻撃手法のことを指す。以下のような特徴がある。

  • 入力値の検証不備が原因で発生
  • データベース内の情報漏洩や改ざんが可能
  • Webアプリケーションに対する代表的な攻撃の一つ

SQLインジェクション攻撃を防ぐためには、入力値の厳格な検証や、プリペアドステートメントの使用、最小権限の原則の適用などが有効だ。開発者はこれらの対策を講じることで、SQLインジェクションのリスクを大幅に低減させることができる。

CVE-2025-29651に関する考察

TP-Link M7650のSQLインジェクション脆弱性CVE-2025-29651は、サプライヤー提供のエミュレーターでのみ再現されるという点で、実際の運用環境におけるリスクは低い可能性がある。しかし、CVSSスコアが9.8と非常に高いことから、潜在的な影響は大きいと考えられる。

今後の問題点としては、エミュレーター環境でのみ再現される脆弱性が、実際の製品に影響を及ぼす可能性を完全に否定できない点が挙げられる。この問題に対しては、サプライヤーと協力して、エミュレーター環境と実際の製品環境との差異を詳細に分析し、脆弱性の影響範囲を正確に評価する必要があるだろう。

今後に期待されることとしては、TP-Linkがファームウェアのアップデートを通じて、この脆弱性を修正し、ユーザーに安全な製品を提供することだ。また、脆弱性情報の公開プロセスを改善し、セキュリティに関する透明性を高めることが望まれる。

参考サイト/関連サイト

  1. CVE.「CVE Record: CVE-2025-29651」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-29651, (参照 2025-04-29).

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