目次
記事の要約
- MediaTek製品の複数のバージョンに、境界外書き込みの脆弱性(CVE-2025-20654)が存在。
- この脆弱性により、リモートからのコード実行が可能になる。
- 対象製品のSDKバージョンに対するアップデートが推奨される。
MediaTek製品にリモートコード実行の脆弱性CVE-2025-20654が発覚
MediaTek, Inc.は、同社のWLANサービスにおいて、境界外書き込みの脆弱性が存在することを公表した。この脆弱性(CVE-2025-20654)は、不適切な境界チェックが原因で発生し、追加の実行権限なしにリモートからのコード実行を許してしまう可能性がある。
この脆弱性の悪用にユーザーの操作は不要であり、ネットワーク経由で直接攻撃が可能な点が特徴だ。対象となる製品は、MT6890、MT7622、MT7915、MT7916、MT7981、MT7986であり、それぞれのSDKバージョンに脆弱性が確認されている。
MediaTekは、この問題に対処するためのパッチ(Patch ID: WCNCR00406897)をリリースしており、対象製品のユーザーには速やかなアップデートが推奨される。この脆弱性は、CVSSスコアが9.8(CRITICAL)と評価されており、早急な対応が求められる。
脆弱性CVE-2025-20654の詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
CVE ID | CVE-2025-20654 |
CWE | CWE-787 Out-of-bounds Write |
影響 | リモートコード実行 |
悪用時のユーザー関与 | 不要 |
CVSS v3.1スコア | 9.8 (CRITICAL) |
Patch ID | WCNCR00406897 |
Out-of-bounds Write(境界外書き込み)について
Out-of-bounds Writeとは、プログラムが割り当てられたメモリ領域を超えてデータを書き込んでしまう脆弱性のことである。この脆弱性は、以下のようなリスクを引き起こす可能性がある。
- プログラムのクラッシュ
- データの破損
- 悪意のあるコードの実行
境界外書き込みは、バッファオーバーフロー攻撃など、さまざまな攻撃手法で悪用される可能性があり、セキュリティ対策において重要な注意点となる。適切な入力検証や境界チェックの実装が、この種の脆弱性を防ぐために不可欠だ。
CVE-2025-20654に関する考察
MediaTek製品に存在するCVE-2025-20654は、リモートからコードが実行可能になるという深刻な脆弱性であり、早急な対応が求められる。特にユーザーの操作を必要とせずに悪用が可能であるため、攻撃の自動化や大規模な感染拡大のリスクも考慮する必要があるだろう。
今後は、ファームウェアの自動アップデート機能の強化や、脆弱性情報の早期提供体制の構築が重要になるだろう。また、開発段階でのセキュリティテストの徹底や、外部専門家による脆弱性診断の実施も有効な対策となるだろう。
MediaTekには、今回の脆弱性発覚を教訓に、より安全な製品開発体制を構築し、ユーザーに安心して利用できる製品を提供することを期待したい。また、セキュリティアップデートの提供期間の明確化や、EOL(End of Life)を迎えた製品に対するサポート体制の強化も検討されるべきだろう。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2025-20654」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-20654, (参照 2025-04-29).