
PCoIP(PC-over-IP)とは
PCoIP(PC-over-IP)は、VMware社が開発したプロトコルであり、データセンターやクラウド上にある仮想デスクトップ環境へ、ネットワークを通じて画面イメージを転送する技術です。ユーザーは手元のデバイスから、あたかもローカルPCを操作しているかのように快適に作業できます。
PCoIPは、ピクセル単位で画面情報をエンコードし、ネットワーク経由でクライアントデバイスに送信します。クライアント側では、受信したデータをデコードして画面に表示するため、高いグラフィック性能を必要とするアプリケーションでも快適に利用可能です。
PCoIPは、セキュリティ面でも優れており、データセンターからクライアントデバイスへは画面イメージのみが転送されます。そのため、機密情報がクライアントデバイスに残ることはなく、情報漏洩のリスクを低減できます。
PCoIPの仕組みと活用
「PCoIPの仕組みと活用」に関して、以下を解説していきます。
- PCoIPの仕組み(通信プロトコル)
- PCoIPの活用(利用シーン)
PCoIPの仕組み(通信プロトコル)
PCoIPは、ホスト側でレンダリングされた画面イメージを、独自のアルゴリズムで圧縮し、UDPプロトコルを使用してクライアントに送信します。UDPはTCPと比較してオーバーヘッドが少ないため、リアルタイム性の高い画面転送に適しています。PCoIPは、ネットワークの状態に応じて圧縮率を動的に調整することで、常に最適なパフォーマンスを提供します。
PCoIPは、AES暗号化によるセキュリティ保護や、USBリダイレクト、オーディオ/ビデオのサポートなど、豊富な機能を備えています。これらの機能により、ユーザーはローカルPCと変わらない操作性を実現できます。
項目 | 詳細 |
---|---|
圧縮方式 | 可逆圧縮と非可逆圧縮 |
伝送プロトコル | UDP(一部TCP) |
セキュリティ | AES256ビット暗号化 |
対応機能 | USBリダイレクト |
PCoIPの活用(利用シーン)
PCoIPは、金融機関や医療機関など、セキュリティが重視される環境での利用に適しています。データがクライアントデバイスに残らないため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが可能です。また、CADや3Dグラフィックスなど、高いグラフィック性能を必要とするアプリケーションのリモート利用にも適しています。
PCoIPは、シンクライアント環境やVDI(Virtual Desktop Infrastructure)環境において、重要な役割を果たします。集中管理された仮想デスクトップ環境へ、場所を選ばずに安全かつ快適にアクセスできるため、働き方改革やBCP対策にも貢献します。
利用シーン | 詳細 |
---|---|
金融機関 | セキュアなリモートアクセス |
医療機関 | 患者情報の保護 |
設計開発 | CAD/CAMのリモート利用 |
コールセンター | 集中管理とセキュリティ |