目次
記事の要約
- Redis 8が一般公開された
- 30以上の性能向上と8つの新しいデータ構造が追加された
- Redis Stackとコミュニティ版がRedis Open Sourceに統合された
Redis 8の一般公開
Redis社は2025年5月1日、Redis 8を一般公開した。この最新バージョンは、パフォーマンスとスケーラビリティが大幅に向上しており、多くのユーザーにとって大きなメリットとなるだろう。
具体的には、コマンド実行速度が最大87%向上、毎秒処理件数が最大2倍、レプリケーション速度が最大18%向上、Redis Query Engineによるクエリ処理能力が最大16倍に向上している。これらの改善により、Redisを利用したアプリケーションのパフォーマンスが劇的に向上する見込みだ。
さらに、Redis 8ではベクターセット(ベータ版)、JSON、時系列データなど8つの新しいデータ構造が追加された。これにより、既存のユースケースへの対応が改善され、次世代の高速リアルタイムアプリケーションの構築が可能になるのだ。
また、無料製品であるRedis Community Editionは、AGPLv3ライセンスオプションの追加に伴い、Redis Open Sourceに名称変更された。Redis Stackとコミュニティ版の統合により、すべてのモジュールがRedis Open Sourceに含まれるようになり、一貫性のある機能セットが提供されるようになった。
Redis 8の新機能と性能向上
機能 | 詳細 |
---|---|
性能向上 | コマンドレイテンシ最大87%削減、スループット最大2倍、レプリケーションメモリ使用量最大35%削減 |
新しいデータ構造 | ベクターセット(ベータ版)、JSON、時系列データ、Bloom filter、Cuckoo filter、Count-min sketch、Top-k、t-digest |
Redis Query Engine | ハッシュとJSONデータ構造の二次インデックス作成、ベクター検索、キーワード検索などをサポート |
アクセス制御リスト(ACLs) | 新しいデータ構造のためのACLカテゴリ追加、既存カテゴリへのコマンド追加 |
ライセンス | AGPLv3ライセンスオプション追加 |
Redis Open Source | Redis Stackとコミュニティ版の統合 |
Redis Query Engineについて
Redis Query Engineは、キー検索を超えた高速データアクセスを実現する機能だ。Redis 8では、ハッシュとJSONデータ構造の二次インデックスを作成できる。
- ベクター検索
- 条件やタグによる正確なデータ検索
- キーワードや意味による検索
これにより、より複雑なデータ検索が可能になり、アプリケーションの機能性が向上するだろう。
Redis 8に関する考察
Redis 8は、パフォーマンス向上と新機能の追加により、Redisの利用価値を大きく高めたと言える。特に、30以上の性能向上は、多くのユーザーにとって大きなメリットとなるだろう。既存のアプリケーションのパフォーマンス向上だけでなく、新しいデータ構造の追加によって、これまでRedisでは難しかったユースケースにも対応できるようになったのだ。
しかし、新機能の追加に伴い、学習コストの上昇や、既存システムとの互換性問題が発生する可能性もある。また、ベクターセットはベータ版であるため、将来的にAPIが変更される可能性も考慮する必要があるだろう。これらの問題に対しては、Redis社による丁寧なドキュメント提供やコミュニティサポートの充実が重要となる。
今後、Redis Query Engineの機能強化や、新しいデータ構造の追加、さらなるパフォーマンス向上などが期待される。特に、AI関連の機能強化は、AIアプリケーション開発においてRedisの重要性をさらに高めるだろう。Redis社には、継続的な開発とサポートによって、Redisを世界中の開発者にとって不可欠なデータベースとして成長させてほしい。
参考サイト/関連サイト
- Redis.「Redis 8 is now GA, loaded with new features and more than 30 performance improvements」.https://redis.io/blog/redis-8-ga/, (参照 2025-05-08).