目次
記事の要約
- TOPPANエッジとPartisiaがデジタル学生証を共同開発
- 顔認証、分散型ID、スマホNFC認証でセキュリティ強化
- 沖縄科学技術大学院大学で6月から9月まで実証実験
TOPPANエッジとPartisiaによるデジタル学生証共同開発
TOPPANエッジ株式会社とPartisia Applications ApSは2025年5月7日、顔認証と分散型ID技術、スマホのNFCを活用したデジタル学生証の共同開発を発表した。このデジタル学生証は、利便性と安全性を両立した設計となっており、グローバル展開を見据えているのだ。
2025年6月から9月にかけて、沖縄科学技術大学院大学(OIST)において実証実験を実施する予定だ。実証実験では、約50名の学生を対象に、試験会場での出欠席管理や学内施設のアクセスコントロールにおける本人確認を行う。この実証実験を通して、システムのセキュリティと利便性を検証する。
TOPPANエッジの顔写真収集・認証クラウドサービス「CloakOne」と、Partisiaの分散型ID技術、そしてスマホのNFC認証を組み合わせることで、EUのデジタルID検証規格「eIDAS2.0」の基準を満たすことを目指している。このデジタル学生証は、従来のICカード学生証に比べて、発行管理の手間やコストを削減し、なりすましのリスクも低減できるだろう。
さらに、次世代インターネットの概念である分散型データ共有モデル(Web3.0)と、Partisiaが開発したブロックチェーン「Partisia Blockchain」を導入することで、データの機密性、完全性、可用性を確保する。高度なマルチパーティ計算(MPC)技術を活用し、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐ仕組みを構築しているのだ。
実証実験の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
開発主体 | TOPPANエッジ株式会社、Partisia Applications ApS |
開発内容 | 顔認証、分散型ID、スマホNFC認証によるデジタル学生証 |
実証実験期間 | 2025年6月~9月 |
実施場所 | 沖縄科学技術大学院大学(OIST) |
対象者 | OIST応用暗号ユニット学生 約50名 |
Phase 1 (6月~8月) | 試験会場における出欠席管理と本人確認 |
Phase 2 (8月~9月) | スマホNFC認証による学生識別と施設アクセスコントロール |
導入予定 | 2025年中にプラットフォーム提供開始、2026年4月入学生からの導入目指す |
分散型ID技術
本デジタル学生証の中核を担うのが、Partisiaが提供する分散型ID技術だ。この技術は、個人が自身のデジタルアイデンティティを管理できる自己主権型アイデンティティ(SSI)の概念に基づいている。
- DIDs(分散型識別子)の活用
- VCs(検証可能な資格情報)の利用
- マルチパーティ計算(MPC)によるセキュリティ強化
これにより、個人情報の安全性を確保しつつ、利便性の高い本人確認を実現できる。分散型ID技術は、プライバシー保護とセキュリティの両立を目指す、これからのデジタル社会において重要な技術となるだろう。
デジタル学生証実証実験に関する考察
本実証実験は、デジタル学生証の利便性とセキュリティの向上に大きく貢献するだろう。特に、従来のICカード学生証に比べて、発行管理の手間やコストを削減できる点は大きなメリットだ。しかし、システムのセキュリティ確保や、学生への利用方法の周知徹底など、課題も残るだろう。
今後起こりうる問題としては、システムへのサイバー攻撃や、個人情報の漏洩などが考えられる。これらへの対策として、継続的なセキュリティ監査や、万が一の事態に備えたバックアップ体制の構築が必要となるだろう。また、学生への丁寧な説明と、利用方法に関するサポート体制の充実も重要だ。
今後追加してほしい機能としては、多言語対応や、様々な認証方法への対応などが挙げられる。グローバル展開を見据えているため、多言語対応は必須だ。また、NFC以外にも、生体認証など、様々な認証方法に対応することで、より多くの学生が利用しやすくなるだろう。
参考サイト/関連サイト
- TOPPANエッジ株式会社.「TOPPANエッジとPartisia、顔認証と分散型ID技術、スマホのNFCを活用したデジタル学生証の共同開発を開始 | TOPPANホールディングス株式会社」.https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2025/05/newsrelease250507_1.html, (参照 2025-05-08).