
目次
記事の要約
- 国産SAFが旅客便に初供給された
- JALの関西発上海行きの便が初号機となった
- 関西国際空港で初のSAF供給事例
国産SAF旅客便初供給
2025年5月1日、国内の廃食用油を原料とした国産SAFが初めて旅客便に供給された。日本航空(JAL)のJL891便(関西発上海(浦東)行)がその第1号便となったのだ。
このSAFは、ISCC CORSIA認証を取得した合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが、コスモ石油堺製油所構内で量産したものである。2024年12月には国内初となるSAFの大規模製造設備が完成し、2025年4月から安定的な製造・供給が開始されていた。今回の供給により、日本国内におけるSAFのサプライチェーンが本格始動したと言えるだろう。
航空業界では、国際民間航空機関(ICAO)が2050年までにCO2排出量を実質ゼロとする目標を掲げている。本事業は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)より採択を受けた助成事業でもある。
関係者と事業概要
項目 | 詳細 |
---|---|
発表日 | 2025年5月8日 |
供給日 | 2025年5月1日 |
航空会社 | 日本航空株式会社(JAL) |
便名 | JL891便 |
出発地 | 関西国際空港 |
目的地 | 上海(浦東) |
SAF製造事業者 | 合同会社SAFFAIRE SKY ENERGY |
製造設備所在地 | コスモ石油堺製油所構内(大阪府堺市) |
認証 | ISCC CORSIA認証 |
プロジェクト名 | Fry to Fly Project |
SAF(Sustainable Aviation Fuel)について
SAFは、バイオジェット燃料を含む持続可能な航空燃料である。廃食用油、サトウキビなどのバイオマス燃料、都市ごみなどを原料として製造する。
- 航空機や給油設備の変更不要
- 製造から使用まで約60〜80%のCO2削減効果
- 持続可能な航空燃料の普及促進
従来の航空燃料と比較して、製造から使用までのライフサイクル全体で大幅なCO2排出量削減効果が期待できるのだ。
国産SAF供給に関する考察
国産SAFの旅客便への初供給は、日本の航空業界における脱炭素化に向けた大きな一歩と言えるだろう。廃食用油の有効活用による資源循環の促進にも貢献しており、環境問題への意識の高まりを反映している。しかし、安定的なSAF供給には、廃食用油の回収体制の整備や、製造設備の更なる拡充が必要となるだろう。
今後、SAFの価格や供給量、そして技術革新によって、航空業界全体の脱炭素化への取り組みが加速していくことが期待される。同時に、国際的な枠組みとの連携強化や、消費者への啓発活動も重要となるだろう。持続可能な社会の実現に向けて、更なる取り組みが求められる。
将来的には、SAFの原料となる廃棄物の種類拡大や、製造プロセスの効率化、そして更なるCO2削減効果の向上などが期待される。これらの課題克服によって、より持続可能な航空業界の構築に貢献できるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「(共同リリース)実用化された国産SAFが旅客便に初供給 | 日本航空株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001232.000030684.html, (参照 2025-05-08).