目次
記事の要約
- Microsoft EntraアプリでマネージドIDをフェデレーテッド資格情報として使用できるようになった
- Azureや他のEntra保護リソースへの安全なアクセスを実現
- シークレットや証明書に依存しない、より安全な方法を提供
Microsoft EntraアプリにおけるマネージドIDの一般提供開始
Microsoftは2025年5月8日、Microsoft EntraアプリでマネージドIDをフェデレーテッド資格情報として使用できるようになったことを発表した。この機能により、Entraアプリはシークレットや証明書に依存することなく、シングルテナントまたはマルチテナントのシナリオにおいて、Azureや他のEntra保護リソースに安全にアクセスできるようになったのだ。
従来、マルチテナントシナリオでユーザー認証やMicrosoft GraphやAzureなどのリソースへのアクセスに使用されるEntraアプリは、シークレットや証明書などの資格情報が必要だった。マネージドIDはAzureでホストされるワークロードにとって最も安全でシークレット不要な代替手段だが、従来はテナントのセキュリティ境界に限定されていた。今回の発表により、Entraアプリがテナント間でリソースにアクセスするために、マネージドIDを資格情報として使用できるようになったのだ。
この発表は、MicrosoftのSecure Future Initiativeの一環であり、アプリケーションワークロードのIDを保護し、シークレットを排除するための重要なステップである。MicrosoftのSecure Future Initiativeは、製品全体のセキュリティを強化し、顧客が環境をより安全に保護できるようにするための複数年にわたる取り組みだ。
機能詳細と利用方法
項目 | 詳細 |
---|---|
発表日 | 2025年5月8日 |
対象 | Microsoft Entraアプリ |
機能 | マネージドIDをフェデレーテッド資格情報として使用 |
メリット | シークレットや証明書の管理不要、セキュリティ強化、運用オーバーヘッド削減 |
動作環境 | シングルテナント、マルチテナント |
利用方法 | Azureリソースに割り当てられたマネージドIDへの直接的な信頼 |
アクセス方法 | マネージドIDトークンを使用したクライアントアサーションの作成、アプリトークンの取得 |
サポートSDK | .NET、Pythonなど |
マネージドIDについて
マネージドIDは、Azureリソース(仮想マシン、App Serviceなど)に割り当てられるIDであり、そのリソースを認証してAzureサービスにアクセスできるようにする。このIDは、シークレットや証明書を直接管理する必要がないため、セキュリティリスクを軽減できる。
- シークレット管理の簡素化
- セキュリティの強化
- 運用効率の向上
マネージドIDを使用することで、アプリケーションは安全かつ効率的にAzureリソースにアクセスできるようになり、開発者や運用担当者の負担を軽減できるのだ。
Microsoft EntraアプリにおけるマネージドID利用に関する考察
マネージドIDをフェデレーテッド資格情報として利用できるようになったことは、Entraアプリのセキュリティと運用効率の大幅な向上に繋がるだろう。シークレット管理の負担が軽減され、セキュリティリスクも低減されるため、企業はより安全で信頼性の高いアプリケーションを構築・運用できるようになるのだ。
しかし、マルチテナント環境におけるアクセス制御や、マネージドIDのライフサイクル管理といった新たな課題も発生する可能性がある。特に、大規模なマルチテナント環境では、アクセス権限の適切な設定と管理が重要となるだろう。適切なアクセス制御ポリシーの設定と、定期的な監査の実施が不可欠だ。
今後、MicrosoftはマネージドIDの機能強化や、より直感的な管理ツールを提供することで、これらの課題への対応を図っていくことが期待される。また、様々なプログラミング言語やフレームワークへの対応を強化し、開発者の利便性を向上させることも重要だろう。
参考サイト/関連サイト
- Microsoft Visual Studio.「Announcing the General Availability of Managed Identities as Federated Identity Credentials in your Entra apps」.https://devblogs.microsoft.com/identity/access-cloud-resources-across-tenants-without-secrets-ga/, (参照 2025-05-09).