目次
記事の要約
- NECがサイバーセキュリティ事業強化を発表
- NIST SP800-53基準準拠のCyber Intelligence & Operation Center新設
- 国産AI「cotomi」活用による高度な脅威分析を実現
NEC、サイバーセキュリティ事業強化を発表
NECは2025年5月8日、「.JP(日本のサイバー空間)を守る」をスローガンに、日本のデジタルインフラの安全性確保に向けたサイバーセキュリティ事業強化を発表した。これは、高度化するサイバー攻撃への対策と、経済安全保障の確保を目的とするものである。
同社は、米国政府機関のセキュリティ基準「NIST SP800-53」をベンチマークとした「Cyber Intelligence & Operation Center」を新設する。本年下期から、日本政府や重要インフラ事業者、海外展開する日本企業向けにサービス提供を開始する予定だ。
このセンターでは、地政学的なサイバー脅威の分析やグローバルな攻撃トレンドに基づいた監視・対処を実施する。サプライチェーンを含む包括的なセキュリティ対策により、日本のデジタルインフラの安全性を高め、安定的な事業・サービス提供に貢献することを目指している。
NECは独自のサイバー脅威インテリジェンスを提供し、国産AI技術「cotomi」を活用することで、分析から対処までの90%を自動化、リアルタイムでの分析結果報告を実現する。残りの10%の手動分析においてもAIが情報を収集し、アナリストを支援する。
Cyber Intelligence & Operation Centerの概要
項目 | 詳細 |
---|---|
開設時期 | 2025年10月(日本) |
対象 | 日本政府、重要インフラ事業者、海外展開日本企業 |
機能 | サイバー脅威インテリジェンス提供、インシデント対応支援、監督官庁への報告支援 |
セキュリティ基準 | NIST SP800-53 |
グローバル展開 | 2026年度以降、APAC、欧州、アメリカに順次開設予定 |
AI活用 | NEC開発の生成AI「cotomi」 |
NIST SP800-53について
NIST SP800-53は、米国国立標準技術研究所(NIST)が策定した、米国政府機関の情報システムと組織のためのセキュリティとプライバシーに関するコントロールの基準である。
- リスク管理
- セキュリティアセスメント
- インシデント対応
この基準は、高度なセキュリティ対策の実施を促すものであり、NECのCyber Intelligence & Operation Centerは、この基準をベンチマークとすることで、高いセキュリティレベルを確保する。
NECのサイバーセキュリティ事業強化に関する考察
NECによるサイバーセキュリティ事業の強化は、日本のデジタルインフラの安全性を高める上で非常に重要だ。NIST SP800-53基準をベンチマークとしたCyber Intelligence & Operation Centerの設立は、高度なセキュリティ対策の実現に大きく貢献するだろう。しかし、国際情勢の変化やサイバー攻撃の高度化は今後も続くため、継続的な技術開発と人材育成が不可欠である。
今後、新たなサイバー脅威への対応や、AI技術の更なる活用による分析精度の向上、グローバル展開における法規制への対応などが課題となる可能性がある。これらの課題に対しては、国際的な連携強化や、AI技術の進化を踏まえたシステムアップデート、各国法規制に精通した専門家の育成などが有効な解決策となるだろう。
将来的には、量子コンピューティング技術の台頭など、新たな脅威への対応も必要となるだろう。NECには、これらの課題に積極的に取り組み、日本のサイバー空間の安全と安定に貢献し続けてほしいと期待する。
参考サイト/関連サイト
- NEC.「NEC、日本のデジタルインフラの安全性確保に貢献するためサイバーセキュリティ事業を強化 (2025年5月8日): プレスリリース | NEC」.https://jpn.nec.com/press/202505/20250508_01.html, (参照 2025-05-09).