
目次
記事の要約
- Vlightup社が暗号資産セキュリティプラットフォーム「TRUSTAUTHY」ベータ版を公開
- 衛星測位情報とTEE署名による改ざん不能な場所証明がコア機能
- 取引所や機関投資家などを対象にベータテストを実施
衛星測位情報活用暗号資産セキュリティ「TRUSTAUTHY」ベータ版公開
Vlightup株式会社は2025年5月9日、暗号資産ウォレットおよび取引所向けロケーション認証型セキュリティ・プラットフォーム「TRUSTAUTHY」ベータ版をリリースした。このサービスは、衛星測位情報(GNSS)と端末内Trusted Execution Environment(TEE)のハードウェア署名を組み合わせた「改ざん不能な場所証明」を基盤としているのだ。
近年増加しているリモートからの暗号資産不正流出事件への対策として開発された。従来の多要素認証(MFA)では防ぎきれなかった、VPNやプロキシを用いたアクセス偽装を阻止することを目指しているのだ。
ベータ版では、主に暗号資産取引所、カストディアン、ステーブルコイン発行体、Web3ゲーム運営などを対象に、TRUSTAUTHYプラットフォームAPIとTRUSTAUTHYウォレットのiOS版Test Flightを提供する。約1ヶ月間のベータプログラムを通して、実運用環境での効果検証を行う予定だ。
正式版v1.0は2025年Q2に公開予定で、2025年Q3にはSolanaやSuiといった主要なL2チェーン向けAPIをリリースし、マルチチェーン対応を強化する計画だ。
TRUSTAUTHYベータプログラム詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
提供開始日 | 2025年5月9日 |
プログラム期間 | 約1ヶ月間 |
対象ユーザー | 暗号資産取引所、機関投資家、DeFiプロジェクト等 |
提供物 | TRUSTAUTHYプラットフォームAPI、TRUSTAUTHYウォレットiOS版Test Flight |
参加メリット | 実運用環境での効果検証、専任サポート、フィードバック反映 |
参加手順 | 応募フォームからのエントリー、24時間以内の連絡、API組み込み完了後の利用開始 |
TRUSTAUTHYの技術ポイント
TRUSTAUTHYは、GeoAuth、GeoScore、GeoMPCという3つの主要な機能で構成されている。GeoAuthはユーザー端末のリアルタイム測位情報を暗号的に証明し、「許可された場所」でのみ資産操作を許可するトークン化された測位情報システムだ。
- リアルタイム測位情報の暗号化証明
- 許可された場所からのみ資産操作許可
- 改ざん防止つき測位情報トークン化
GeoScoreは過去の操作履歴、送金パターン、時刻、位置などを基にした行動スコアリングAIで、リスクの高い取引をリアルタイムで検知し、段階的に制御する。GeoMPCは秘密鍵を複数の断片に分割し、特定の地理的条件下で揃った複数端末が揃ったときだけ署名可能なMPC方式だ。
TRUSTAUTHYに関する考察
TRUSTAUTHYは、増加する暗号資産不正流出事件への対策として、革新的なアプローチを提供する点で高く評価できる。衛星測位情報とTEE署名による場所証明は、従来のセキュリティ対策では防ぎきれなかったリモート攻撃への有効な防御策となり得るだろう。しかし、GPS信号の遮断や偽装といった新たな攻撃手法への対策も必要となる可能性がある。
考えられる解決策としては、複数の測位システムとの連携や、端末の物理的な状態を検知するセンサー技術の活用などが挙げられる。さらに、多様な暗号資産やブロックチェーンへの対応、ユーザーインターフェースの改善なども重要となるだろう。将来的には、より高度なリスク評価や、不正行為の自動検知・対応機能の追加が期待される。
ユーザーフレンドリーな設計と、継続的なセキュリティアップデートによって、TRUSTAUTHYは暗号資産市場における信頼性を高める上で重要な役割を果たすだろう。今後の開発と普及に期待したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「衛星測位情報を活用した暗号資産セキュリティ「TRUSTAUTHY」ベータ版を正式公開 | Vlightup株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000143485.html, (参照 2025-05-09).