リコー、生成AI活用「適応型AI-OCR」開発、帳票処理の効率化を実現

記事の要約

  • リコーが生成AIを活用した「適応型AI-OCR」を開発
  • RICOH受領請求書サービス、RICOH受領納品書サービスに実装
  • 帳票処理ルールに合わせたOCR結果出力で業務効率化を実現

リコーが生成AIを活用した適応型AI-OCRを開発

株式会社リコーは2025年5月8日、生成AIを活用して企業や担当者ごとの帳票処理ルールに合わせてOCR結果を最適化する技術「適応型AI-OCR」を開発したと発表した。この技術は、ユーザーによる修正履歴などの情報を生成AIに取り込むことで、事前の設定なしに、企業や担当者ごとの処理ルールに合わせた出力を実現する新技術である。

従来のAI-OCR技術は、文書内の情報を正確に抽出してテキスト化することを目的としていたが、「適応型AI-OCR」では、ユーザーの処理ルールまで反映したテキスト出力が可能になる。生成AIがOCRの誤認識を修正することで、帳票認識の精度向上も実現しているのだ。

リコージャパン株式会社は、クラウド型AI帳票認識OCRソリューション「RICOH 受領請求書サービス」と「RICOH 受領納品書サービス」に本技術を実装し、バージョンアップした。これにより、請求書や納品書の処理業務をさらに効率化し、バックオフィス業務の負担軽減と業務全体の生産性向上に貢献する。

また、本技術はリコージャパンの他のサービスにも順次展開していく予定だ。

「適応型AI-OCR」搭載サービス

サービス名概要
RICOH 受領請求書サービス請求書をAI-OCRでデータ化し、仕訳・支払業務を効率化
RICOH 受領納品書サービス納品書をAI-OCRでデータ化し、スムーズな仕入れ・在庫管理を実現
トレード帳票DXシリーズ

適応型AI-OCRの概要

適応型AI-OCRは、生成AIを活用し、ユーザーの修正履歴などの情報を学習することで、企業や担当者ごとの処理ルールに合わせたOCR結果を出力する技術だ。

  • 複数項目にまたがる情報の結合
  • 情報の必要部分の抽出
  • ルールに合わせた形式での情報生成

これにより、帳票処理における人為的な修正作業を削減し、業務効率の向上に貢献する。

適応型AI-OCRに関する考察

「適応型AI-OCR」は、バックオフィス業務の効率化に大きく貢献するだろう。しかし、生成AIの学習データに偏りがあると、特定の企業や担当者のルールに過剰に適合し、他のケースへの対応が難しくなる可能性がある。そのため、継続的な学習データの更新と、多様な帳票データへの対応が重要となるだろう。

起こり得る問題としては、AIの学習不足による認識精度の低下や、予期せぬ帳票形式への対応が挙げられる。解決策としては、継続的なAIモデルの学習と、多様な帳票データの収集・活用が有効だ。さらに、ユーザーからのフィードバックを積極的に取り入れ、AIモデルの改善を図ることも重要である。

今後追加してほしい機能としては、より高度な帳票レイアウトの自動認識機能や、多言語対応などが考えられる。また、様々な会計システムとのシームレスな連携機能も期待したい。これらの機能強化により、より多くの企業が「適応型AI-OCR」の恩恵を受けられるようになるだろう。

参考サイト/関連サイト

  1. 株式会社リコー.「生成AIが企業・担当者ごとの帳票処理ルールに合わせてOCR結果を最適化する「適応型AI-OCR」を開発 | リコーグループ 企業・IR | リコー」.https://jp.ricoh.com/release/2025/0508_1, (参照 2025-05-09).

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