
目次
記事の要約
- ローデ・シュワルツとAnalog Devices社が車載Ethernet規格10BASE-T1Sのデコードを実現
- R&S MXOシリーズオシロスコープを用いて10BASE-T1S通信のデコードが可能に
- ADI社のE2Bソリューションとローデ・シュワルツのオシロスコープの連携で効率的なテストと検証を実現
ローデ・シュワルツとAnalog Devices社による10BASE-T1Sデコード技術
ローデ・シュワルツは2025年5月9日、Analog Devices社との協力により、車載Ethernetの新規格10BASE-T1S通信のデコードを実現したと発表した。R&S MXO 4/5シリーズのオシロスコープにR&S MXOx-K560オプションを装備することで、10BASE-T1S通信のデコードが可能になったのだ。
この技術により、ADI社の10BASE-T1S Ethernet to Edge Bus(E2B)製品を用いた車載アプリケーションのテストと検証が効率化される。高速な更新速度と大きなメモリ容量を持つR&S MXOシリーズオシロスコープは、パケットの捕捉、トリガリング、デコードを迅速に行い、電気信号の全波形を正確に捉える能力に優れている。
さらに、デコードされたパケットは色分け表示されるため、重要なプロトコルメッセージの識別が容易になり、市場投入までの時間短縮にも貢献する。10BASE-T1Sは、マルチドロップ伝送などの新機能も備え、車載ネットワークの複雑なシステムに最適なソリューションを提供するのだ。
Analog Devices社のE2Bソリューションは、エッジ・ノードのマイクロコントローラを不要にし、ソフトウェアの集中化を可能にすることで、次世代ゾーン・アーキテクチャとソフトウェア定義型自動車(SDV)の実現を支える。このソリューションは、車体、パワートレイン、センサ、アクチュエータなどをドメイン・コントローラやゾーン・コントローラとリンクさせるのに特に適している。
10BASE-T1Sデコード技術の仕様と利点
項目 | 詳細 |
---|---|
規格 | 10BASE-T1S (IEEE 802.3cg) |
データレート | 10 Mbps |
伝送距離 | 25メートル |
特徴 | マルチドロップ伝送、PLCA(物理層衝突回避)技術 |
対応製品 | R&S MXO 4/5シリーズオシロスコープ (R&S MXOx-K560オプション) 、ADI社 E2B |
利点 | 効率的なテストと検証、市場投入時間の短縮、低レイテンシ、省電力 |
10BASE-T1Sについて
10BASE-T1Sは、車載および産業用アプリケーション向けのEthernetネットワーク技術である。低速グレード(10Mbps)と短い伝送距離(25メートル)により、エネルギー効率とコスト効率に優れている。
- 省電力
- 低コスト
- マルチドロップ伝送による簡素化
この規格は、複数のノードをサポートし、複雑なシステムにも対応できる柔軟性を備えている。PLCA技術により、ネットワーク上のノード間の通信のタイミングとパフォーマンスの検証が容易になるのだ。
車載Ethernet技術に関する考察
ローデ・シュワルツとAnalog Devices社による10BASE-T1Sデコード技術は、車載Ethernetの開発を加速させる上で大きな貢献をするだろう。高速で正確なデコード機能は、開発期間の短縮と製品品質の向上に繋がる。しかし、今後、より複雑な車載ネットワーク環境に対応するためには、さらに高度なデコード技術や分析ツールの開発が必要となる可能性がある。
起こりうる問題としては、10BASE-T1S規格の普及に伴い、様々なデバイスやシステムとの互換性テストの必要性が増加することだ。この問題への解決策としては、ローデ・シュワルツのような計測器メーカーと半導体メーカーの連携を強化し、包括的なテスト環境を提供することが重要となるだろう。
今後、より高速なデータレートに対応した規格や、セキュリティ機能の強化、AIを活用した高度なネットワーク管理機能などが求められるだろう。ローデ・シュワルツとAnalog Devices社には、これらのニーズに対応した技術開発を継続し、車載Ethernet技術の進化を牽引していくことを期待したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「ローデ・シュワルツ、車載Ethernetの未来を先駆ける-Analog Devices社の10BASE-T1Sソリューションに力を | ローデ・シュワルツ・ジャパン株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000104512.html, (参照 2025-05-09).