
SCORMとは
SCORM(Sharable Content Object Reference Model)は、eラーニングコンテンツの国際的な標準規格です。異なるLMS(学習管理システム)間で互換性を持たせることを目的としており、コースコンテンツの再利用性や移植性を高めます。SCORMに準拠することで、作成した教材を様々なプラットフォームで利用でき、学習効果の追跡や管理も容易になります。
SCORMは、コンテンツのパッケージング方法やLMSとの通信方法などを定めています。これにより、教材開発者は特定のLMSに依存することなく、汎用性の高いコンテンツを作成できます。また、学習者はどのLMSを使用しても、一貫した学習体験を得ることが可能です。SCORMは、eラーニングの効率化と普及に大きく貢献しています。
SCORMの主なバージョンには、SCORM 1.2とSCORM 2004があります。SCORM 1.2は比較的シンプルな構造で、多くのLMSでサポートされています。SCORM 2004は、より高度な機能を提供し、学習進捗の詳細な追跡や複雑な学習シナリオに対応できます。どちらのバージョンを選択するかは、教材の要件やLMSの対応状況によって異なります。
SCORMの仕組み
「SCORMの仕組み」に関して、以下を解説していきます。
- SCORMの構成要素
- SCORMの動作フロー
SCORMの構成要素
SCORMの構成要素は、コンテンツを構成する要素と、それらをまとめるための仕様から成り立っています。これらの要素が組み合わさることで、LMSとの連携が可能になり、学習データの追跡や管理が実現します。SCORMの構成要素を理解することは、SCORM準拠のコンテンツを作成・利用する上で不可欠です。
SCORMコンテンツは、Sharable Content Object(SCO)と呼ばれる再利用可能な学習オブジェクトで構成されます。SCOは、HTMLページ、画像、動画、インタラクティブな要素など、様々な形式のコンテンツを含むことができます。これらのSCOは、LMSに登録され、学習者がアクセスできるようになります。SCOの集合体がコースを構成します。
構成要素 | 詳細 | 役割 |
---|---|---|
SCO | 再利用可能な学習オブジェクト | 学習コンテンツの最小単位 |
アセット | 画像や動画などのリソース | SCOを構成する要素 |
IMS manifest | コンテンツの構造を記述 | LMSへの登録情報を定義 |
APIアダプタ | LMSとの通信を仲介 | 学習データの送受信 |
SCORMの動作フロー
SCORMの動作フローは、学習者がコンテンツを起動してから完了するまでの一連の流れを指します。このフローを理解することで、SCORMがどのようにLMSと連携し、学習データを追跡・管理しているかを把握できます。SCORMの動作フローは、eラーニングシステム全体の効率的な運用に不可欠です。
学習者がLMS上でSCORMコンテンツを起動すると、LMSはコンテンツのIMS manifestファイルを読み込み、コンテンツの構造を認識します。次に、APIアダプタを通じてLMSとの通信を確立し、学習者の情報を取得します。学習者はコンテンツを操作し、その進捗状況や結果がAPIアダプタを通じてLMSに送信されます。LMSはこれらのデータを記録し、学習者の進捗状況を追跡します。
ステップ | 内容 | 目的 |
---|---|---|
コンテンツ起動 | 学習者がLMS上でコンテンツを起動 | 学習セッションの開始 |
API初期化 | LMSとの通信を確立 | 学習データの送受信準備 |
学習 | 学習者がコンテンツを操作 | 知識やスキルの習得 |
データ送信 | 学習進捗や結果をLMSに送信 | 学習状況の記録 |