
シーケンス図とは
シーケンス図は、システムやプログラムにおけるオブジェクト間の相互作用を時系列に沿って記述する図です。ソフトウェア開発の設計段階や、システムの挙動を理解する際に役立ちます。オブジェクト間のメッセージの流れや処理の順序を視覚的に表現することで、複雑なシステムを理解しやすくします。
シーケンス図は、UML(Unified Modeling Language)で定義されている図の一種であり、ソフトウェア開発だけでなく、ビジネスプロセスの可視化にも利用可能です。システムの要件定義から設計、実装、テストといった開発ライフサイクル全体を通して活用され、関係者間の共通認識を形成する上で重要な役割を果たします。シーケンス図を用いることで、開発チームはシステムの動作を正確に把握し、効率的な開発を進めることができます。
シーケンス図は、システムの振る舞いを明確にするために、さまざまな要素で構成されています。オブジェクトを表すライフライン、オブジェクト間のメッセージのやり取りを表す矢印、処理の実行期間を示すアクティベーションボックスなどが主な要素です。これらの要素を組み合わせることで、システムの動作を詳細に記述し、潜在的な問題点を早期に発見することが可能になります。
シーケンス図の活用
「シーケンス図の活用」に関して、以下を解説していきます。
- シーケンス図の作成手順
- シーケンス図の記述要素
シーケンス図の作成手順
シーケンス図を作成する際は、まずシステム内で相互作用するオブジェクトを特定します。次に、これらのオブジェクト間でやり取りされるメッセージの流れを時系列順に記述します。オブジェクトのライフライン、メッセージの矢印、アクティベーションボックスなどを適切に配置し、システムの動作を視覚的に表現します。
シーケンス図の作成では、具体的なシナリオを想定し、そのシナリオにおけるオブジェクト間のやり取りを詳細に記述することが重要です。図が完成したら、関係者間でレビューを行い、誤りや不明確な点を修正します。作成したシーケンス図は、設計書やドキュメントに含め、開発チーム全体で共有します。
手順 | 内容 | 備考 | |
---|---|---|---|
1 | オブジェクト特定 | システム内の関係要素 | 洗い出しが重要 |
2 | メッセージ記述 | 時系列に沿って記述 | 詳細なシナリオ想定 |
3 | 図の作成 | 要素を適切に配置 | 視覚的に表現 |
4 | レビュー | 関係者間で確認 | 誤りや不明点修正 |
シーケンス図の記述要素
シーケンス図は、オブジェクト、ライフライン、メッセージ、アクティベーションボックスといった要素で構成されています。オブジェクトはシステム内の役割を担う要素であり、ライフラインはオブジェクトの存在期間を縦線で示します。メッセージはオブジェクト間のやり取りを表し、アクティベーションボックスはオブジェクトが処理を実行している期間を示します。
これらの要素を適切に組み合わせることによって、システムの動作を詳細に記述できます。例えば、メッセージの種類(同期メッセージ、非同期メッセージ、応答メッセージなど)を区別することで、より詳細なシステムの挙動を表現可能です。また、条件分岐やループなどの制御構造もシーケンス図に記述することで、複雑な処理の流れを明確にできます。
要素 | 説明 | 種類 |
---|---|---|
オブジェクト | システム内の役割 | クラス名など |
ライフライン | オブジェクトの存在期間 | 縦線で表現 |
メッセージ | オブジェクト間のやり取り | 同期/非同期 |
アクティベーション | 処理実行期間 | ボックスで表現 |