
配賦とは
配賦とは、企業会計において、ある勘定科目に集計された費用や収益を、他の勘定科目に割り当てる処理のことです。直接的な因果関係が明確でない費用などを、一定の基準に基づいて複数の部門や製品に割り振る際に用いられます。配賦を行うことによって、各部門や製品の正確な原価計算が可能となり、経営判断の精度を高めることができます。
配賦は、原価計算だけでなく、予算管理や業績評価など、幅広い分野で活用されます。例えば、本社の人事部門の費用を各事業部に配賦することで、各事業部の人事関連コストを把握できます。また、複数の製品を製造している工場全体の減価償却費を、各製品の生産量に応じて配賦することで、製品ごとの原価をより正確に把握することが可能です。
配賦基準の設定は、配賦の妥当性を左右する重要な要素です。配賦基準は、費用や収益の発生原因との関連性が高く、客観的に測定可能なものを選ぶ必要があります。不適切な配賦基準を用いると、原価計算の結果が歪められ、誤った経営判断につながる可能性があるため、慎重に検討しなければいけません。
配賦基準の種類と注意点
「配賦基準の種類と注意点」に関して、以下を解説していきます。
- 配賦基準の種類
- 配賦における注意点
配賦基準の種類
配賦基準には、直接配賦法、段階式配賦法、相互配賦法など、様々な種類が存在します。直接配賦法は、補助部門費を直接製造部門に配賦する方法であり、最も簡便ですが、補助部門間の相互関係を考慮しないという欠点があります。配賦基準の選択は、企業の規模や業種、配賦対象となる費用や収益の性質などを考慮して決定することが重要です。
段階式配賦法は、補助部門間の優先順位をつけ、優先順位の高い部門から順に配賦していく方法です。相互配賦法は、補助部門間の相互関係を考慮して、連立方程式などを用いて配賦額を計算する方法であり、最も正確ですが、計算が複雑になるという難点があります。どの配賦方法を選択するかは、配賦の目的や精度、計算の複雑さなどを総合的に考慮して判断する必要があるでしょう。
配賦基準 | 内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
直接配賦法 | 補助部門費を製造部門へ配賦 | 計算が容易 | 相互関係を無視 |
段階式配賦法 | 優先順位に従い配賦 | 直接配賦法より正確 | 優先順位の設定が必要 |
相互配賦法 | 相互関係を考慮し配賦 | 最も正確 | 計算が複雑 |
従業員数 | 従業員数に応じて配賦 | データ入手が容易 | 業務内容を反映しない |
配賦における注意点
配賦を行う際には、配賦基準の妥当性、配賦計算の正確性、配賦結果の解釈などに注意する必要があります。配賦基準が費用や収益の発生原因と関連性が低い場合、配賦結果が歪められ、誤った経営判断につながる可能性があります。配賦計算に誤りがあると、配賦結果の信頼性が損なわれ、意思決定に悪影響を及ぼすでしょう。
配賦結果を解釈する際には、配賦の目的や限界を理解した上で、他の情報と合わせて総合的に判断することが重要です。配賦は、あくまで費用や収益を割り当てるための手段であり、それ自体が真実を反映しているわけではありません。配賦結果を鵜呑みにせず、その背景にある要因や仮定を考慮することが大切です。
注意点 | 詳細 | 対策 |
---|---|---|
配賦基準の妥当性 | 費用との関連性が低い場合 | 適切な基準を再検討 |
計算の正確性 | 計算ミスによる誤り | 複数人で確認 |
結果の解釈 | 目的と限界を理解 | 総合的な判断を行う |
継続的な見直し | 状況変化への対応 | 定期的な検証を実施 |