アスタミューゼ、脱炭素技術40領域の新たな技術区分を公開、2050年時点では二次電池が最大ポテンシャル

アスタミューゼ、脱炭素技術40領域の新たな技術区分を公開、2050年時点では二次電池が最大ポテンシャル
PR TIMES より

記事の要約

  • アスタミューゼが脱炭素技術40領域の新たな技術区分を公開
  • 2030年時点では太陽光発電、2050年時点では二次電池が最大の炭素削減ポテンシャル
  • 太陽光発電、次世代電池、燃料電池の3技術に注目し分析結果を示す

アスタミューゼ、脱炭素技術40領域の新たな技術区分を公開

アスタミューゼ株式会社は2025年5月12日、脱炭素社会の実現に向けた技術の全体像を俯瞰的に整理し、炭素削減に貢献する技術領域を再編した新しい技術区分を公表した。この技術区分は、特許庁による「グリーン・トランスフォーメーション技術区分表(GXTI)」を統合的に取り込みつつ、より実態に即した形で再構成されているのだ。

アスタミューゼでは、各技術の炭素削減ポテンシャルを独自の指標で定量的に評価している。この指標は、2024年時点における温室効果ガスの排出量、2030年・2050年時点における炭素削減率、社会実装の見込み(普及率)の3要素に基づいて算出される。2030年時点では「太陽光発電・太陽電池・太陽熱発電」分野が最大の削減効果を持ち、2050年時点では「二次電池・全固体電池・キャパシタ」分野が最も高いポテンシャルを示した。

今回の分析では、2030年から2050年にかけての炭素削減ポテンシャルの増加量も踏まえ、「太陽光発電」「次世代電池」「燃料電池」の3技術に注目し、詳細な分析結果を示している。企業別の「炭素削減インパクトスコア」も示されており、技術開発・社会実装を通じてどれだけ炭素削減に貢献できるかを定量的に可視化しているのだ。

脱炭素技術40領域の分析結果

技術分野2030年削減ポテンシャル(億トン)2050年削減ポテンシャル(億トン)
太陽光発電・太陽電池・太陽熱発電36.1
風力エネルギー
水力エネルギー
二次電池・全固体電池・キャパシタ99
カーボンクレジット
燃料電池
アスタミューゼ発表資料

ペロブスカイト太陽電池の分析

再生可能エネルギーの中でも導入量が急速に拡大している太陽エネルギー発電技術において、次世代型太陽電池への期待が高まっている。軽量で柔軟性があり、多様な場所に設置できる次世代型太陽電池として、「ペロブスカイト太陽電池」「有機薄膜太陽電池」「量子ドット太陽電池」の3種が注目されている。

  • ペロブスカイト太陽電池:軽量・柔軟性に優れ、高い変換効率を実現
  • 有機薄膜太陽電池:柔軟・軽量かつ生産コストが低いのが特長
  • 量子ドット太陽電池:理論的には30%近い変換効率が可能

アスタミューゼは、競争的研究資金(グラント)の動向をもとに、各技術の将来性を分析し、ペロブスカイト太陽電池は特に投資の伸びが顕著であると結論づけている。

炭素削減インパクトスコアに関する考察

アスタミューゼは、各技術領域について、炭素削減ポテンシャルに対し、企業ごとのトータルパテントアセットの構成比を乗じることで、「炭素削減インパクトスコア」を算出している。このスコアは、企業が実現可能な炭素削減量を示す指標であり、今後の技術開発や事業戦略の方向性を示す上で注目すべき指標となるだろう。この指標を用いることで、企業は自社の技術開発や事業戦略における炭素削減への貢献度を定量的に把握することができるのだ。

しかし、このスコアは特許情報に基づいて算出されるため、特許出願状況や特許の質によって影響を受ける可能性がある。そのため、スコアだけで企業の炭素削減への貢献度を完全に評価することは難しいだろう。より正確な評価を行うためには、特許情報以外のデータ、例えば、実際の排出量削減実績や、環境への取り組みなどを総合的に考慮する必要がある。

今後、より多くの企業が炭素削減インパクトスコアを活用し、技術開発や事業戦略に反映していくことで、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが加速すると期待される。アスタミューゼは、このスコア算出方法の精度向上や、データの充実を図り、より信頼性の高い指標を提供していく必要があるだろう。

参考サイト/関連サイト

  1. PR TIMES.「炭素削減ポテンシャルから紐解くカーボンニュートラルに向けた脱炭素技術 | アスタミューゼ株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000642.000007141.html, (参照 2025-05-13).

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