
目次
記事の要約
- 電力使用量データ活用による居住支援サービスの実証実験結果を公開
- 体調不良予兆検知や見守り作業の効率化に有効性を確認
- AI分析エンジンとアラート通知精度の向上に課題あり
株式会社東光高岳と抱樸による実証実験結果
株式会社東光高岳と特定非営利活動法人抱樸は、2025年5月12日、電気の使用量データを活用した居住支援サポートサービスのPoC(実証実験)の結果を公表した。この実証実験は、2024年10月15日から2025年2月28日にかけて、福岡県北九州市の40軒の見守り支援付き住宅等で行われたのだ。
実証実験では、1分毎の電力使用量データの収集とAIを活用したデータ分析を実施した。その結果、外出頻度の減少や睡眠時間の変化などから、居住者の体調不良の予兆を把握できることが確認された。さらに、見守り時間外の生活行動も把握可能となり、見守り作業の工数削減に繋がる可能性が示唆されたのだ。
しかし、生活習慣が一定でないケースや、睡眠中に家電を使用するケースなどでは、AI分析エンジンの精度に課題が残った。また、アラート通知条件の設定にも課題があり、抱樸の支援員からのフィードバックを反映して改善していく必要があることがわかった。
今後、抱樸は国土交通省の「みんなが安心して住まいを提供できる環境整備モデル事業」に応募する予定だ。採択された場合は、東光高岳がAI分析エンジンとアラート通知精度の改良版を提供する予定である。
実証実験概要
項目 | 詳細 |
---|---|
実施場所 | 福岡県北九州市 |
対象軒数 | 40軒 |
実施期間 | 2024年10月15日~2025年2月28日 |
実施者 | 抱樸、東光高岳、エクサ |
目的 | 体調不良検知精度確認、見守り作業工数削減検証、アプリケーション利便性検証 |
主な結果 | 体調不良予兆把握、見守り時間外行動把握、コミュニケーション深化 |
AI分析エンジンの精度向上について
本実証実験で用いられたAI分析エンジンは、電力使用量データから居住者の生活パターンを分析し、体調不良の予兆などを検知する機能を有する。しかし、生活習慣が一定でない場合や、睡眠中に家電を使用する場合など、精度向上のための課題が残されているのだ。
- 家電使用時のデータ収集・分析の強化
- AIアルゴリズムの改良
- より精緻な生活パターンモデルの構築
これらの課題解決に向けて、継続的なデータ収集と分析、AIアルゴリズムの改良を進めていく必要がある。
電力使用量データ活用居住支援サービスに関する考察
本実証実験は、電力使用量データの活用によって、居住者の見守り支援を効率化し、生活の質を向上させる可能性を示した。高齢化社会における課題解決に貢献する画期的な取り組みであると言えるだろう。しかし、プライバシー保護やデータセキュリティといった課題への対応も重要だ。
今後、AI分析エンジンの精度向上や、アラート通知の最適化によって、より正確で迅速な対応が可能になるだろう。さらに、多様な生活パターンに対応できるよう、AIモデルの柔軟性を高めることも必要となる。データの不正利用を防ぐためのセキュリティ対策も不可欠である。
将来的には、本サービスを他の地域や施設にも展開し、より多くの高齢者や一人暮らしの方々の生活を支えることが期待される。その際には、利用者のニーズを踏まえたサービス設計と、継続的な改善が求められるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「電力使用量データを活用した居住支援サポートサービスのPoC(実証実験)の実績報告について | 株式会社東光高岳のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000102693.html, (参照 2025-05-13).