
目次
記事の要約
- NTNとコスモエコパワーがバーチャルPPA契約を締結
- 中紀ウィンドファームの環境価値を16年間購入
- 年間約4200tのCO2排出量削減を見込む
NTNとコスモエコパワーのバーチャルPPA締結
NTN株式会社とコスモエコパワー株式会社は、2025年5月7日付でバーチャルPPA契約を締結したことを2025年5月12日に発表した。この契約は、NTNにとって初となるバーチャルPPAとなる。
本PPAの対象は、コスモエコパワーが運営する和歌山県にある中紀ウィンドファームだ。同風力発電所は2021年4月に商業運転を開始しており、NTNが事業を展開する関西エリアに電力を供給している。
中紀ウィンドファームには、NTNのベアリングや状態監視システム「Wind Doctor®」が採用されている。コスモエコパワーにとっても、発電機の部品供給元とPPAを結ぶのは初めてのケースである。
本PPAにより、NTNは中紀ウィンドファームで生み出される年間約1000万kWh相当の環境価値(非化石証書)を今後16年間にわたって受け取る。これにより、年間約4200t(約1700世帯分)のCO2排出量削減が見込まれるのだ。
契約概要
項目 | 詳細 |
---|---|
契約締結日 | 2025年5月7日 |
発表日 | 2025年5月12日 |
契約相手 | NTN株式会社、コスモエコパワー株式会社 |
対象発電所 | 中紀ウィンドファーム |
所在地 | 和歌山県広川町、日高川町、有田川町 |
設備能力 | 48,300kW(2,100kW×23基) |
環境価値購入量 | 年間約1,000万kWh |
CO2削減量 | 年間約4,200t |
契約期間 | 16年間 |
バーチャルPPAについて
バーチャルPPAとは、再生可能エネルギー発電所から物理的な電力を購入するのではなく、その発電量に応じた環境価値(非化石証書)のみを購入する契約形態である。
- 電力需給の物理的な調整は不要
- 再生可能エネルギーの利用促進に貢献
- CO2排出量削減効果の明確化
従来のPPAと異なり、発電所の運転開始時期に制限がない点が特徴だ。
NTNとコスモエコパワーのバーチャルPPAに関する考察
NTNとコスモエコパワーによるバーチャルPPA締結は、企業による再生可能エネルギー調達における新たなモデルケースとして注目に値する。両社は長年にわたり日本の風力発電を支えてきたパートナーであり、今回の協業はカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを加速させるものだ。
しかしながら、バーチャルPPAは電力需給の物理的な調整が不要なため、再生可能エネルギー発電量の変動リスクを考慮する必要がある。また、非化石証書の市場価格変動もリスク要因となり得るだろう。これらのリスクを軽減するためには、長期的な視点での契約設計や、リスクヘッジのための対策が重要となる。
今後、バーチャルPPA市場の拡大に伴い、より精緻な環境価値評価手法や、リスク管理のための金融商品開発などが求められるだろう。NTNとコスモエコパワーの取り組みは、こうした市場の発展に大きく貢献すると期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「NTNで初となるバーチャルPPAを締結 ~コスモエコパワーの中紀ウィンドファーム(風力発電)を活用~ | コスモエネルギーホールディングス株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000218.000098598.html, (参照 2025-05-14).