
目次
記事の要約
- マイスターエンジニアリンググループがインフラメンテナンスの社会貢献度試算結果を発表
- 鉄道変電所と製油所の2プロジェクトで、年間の経済効果や環境貢献などを定量的に示した
- インフラメンテナンスの重要性と技術者の価値を可視化し、業界の課題解決に貢献
マイスターエンジニアリンググループ、インフラメンテナンスの社会貢献度試算結果を発表
株式会社マイスターエンジニアリンググループは2025年5月13日、クオンクロップ株式会社の協力を得て、自社グループ会社のメンテナンス技術者が携わるプロジェクトの社会貢献度試算分析結果を発表した。この試算は、鉄道の変電所および製油所のプラントにおけるプロジェクトをベースに、作業量を稼働時間や経済費用、生産量、省エネ量などに換算して行われたのだ。
試算の結果、インフラの計画的な点検や診断、修繕が安定した経済活動を支え、機能停止による負の波及効果を未然に防ぐ「予防保全」の重要性が改めて示された。これは、近年頻発するインフラ関連障害への対策として、メンテナンス体制の強化・変革が喫緊の課題となっている現状を踏まえたものだ。
発表資料によると、2023年4月の独自調査では、インフラメンテナンスを支える技術者の減少幅が著しく、2030年には2000年比で約3分の2、2045年には半減すると推定されている。この人材不足は、インフラメンテナンスの持続可能性に深刻な影響を与える可能性がある。
社会貢献度試算結果詳細
プロジェクト | 社会貢献度 |
---|---|
鉄道変電所・駅電気設備法定点検 | 370時間分の計画外停止抑止、25万人分の運搬維持、740億円分の経済活動継続、83万世帯分の1日消費電力節電相当 |
製油所設備診断・設備管理 | 18日分の計画外停止抑止、180億円分の原油処理継続、1.7億リットルのガソリン製造能力維持、43万人分の年間ガソリン消費量確保 |
予防保全の重要性
今回の試算は、予防保全としてのインフラメンテナンスの重要性を改めて浮き彫りにした。複雑な構造を持つプラントや鉄道では、小さな異常も見逃すと設備障害・故障につながり、人的・物的被害、環境負荷増大、経済的損失など甚大な負の波及効果を招く可能性があるのだ。
- 計画外停止による経済的損失の軽減
- 事故による環境負荷の抑制
- 社会問題化の未然防止
そのため、事後保全ではなく、計画外停止時のダメージを最小限に抑える予防保全が不可欠であり、マイスターエンジニアリンググループは、高度化・進化するインフラ設備にも対応可能な技術の研鑽に努めている。
インフラメンテナンスに関する考察
今回の試算は、インフラメンテナンスの社会貢献度を定量的に示した点で大きな意義を持つ。しかし、人材不足という深刻な課題は依然として残っており、技術者の確保・育成、働き方改革、DX推進など、継続的な取り組みが必要となるだろう。特に、若年層や女性への積極的なアプローチ、未経験者向けの教育プログラムの充実が重要だ。
また、今回の試算は鉄道変電所と製油所という2つのプロジェクトに限定されているため、他のインフラ分野への適用可能性や、より詳細な分析が必要となるだろう。将来的には、AIやIoT技術を活用した予防保全システムの導入なども検討すべきであり、官民連携による更なる取り組みが期待される。
さらに、社会全体としてインフラメンテナンスの重要性を理解し、適切な投資を行う体制づくりが不可欠だ。そのためには、国民への啓発活動や、メンテナンス技術者の社会的ステータスの向上も必要となるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「マイスターエンジニアリンググループ、「超重要インフラ」メンテナンスにおける人材不足および求職状況・就業実態調査に続き、自社が携わるプロジェクトの社会貢献度に関する試算結果を公表 | 株式会社マイスターエンジニアリングのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000065715.html, (参照 2025-05-14).