目次
記事の要約
- LibreOfficeのPDF署名検証における脆弱性CVE-2025-2866が公開された
- adbe.pkcs7.sha1署名の検証コードの欠陥により、不正な署名が有効と判定される可能性がある
- LibreOffice 24.8.6以前、25.2.2以前のバージョンが影響を受ける
LibreOfficeのセキュリティ脆弱性に関する情報公開
The Document Foundationは2025年4月27日、LibreOfficeにおけるPDF署名偽造の脆弱性CVE-2025-2866に関する情報を公開した。この脆弱性は、不正な署名が有効と判定される可能性があるという深刻な問題を含んでいるのだ。
影響を受けるのはLibreOffice 24.8シリーズの24.8.6未満のバージョンと、25.2シリーズの25.2.2未満のバージョンである。The Document Foundationは、速やかにこれらのバージョンを更新するようユーザーに呼びかけている。この脆弱性を悪用されると、改ざんされたPDF文書が本物として受け入れられてしまう可能性があるのだ。
この脆弱性の発見と修正に貢献したのはJuraj Šarinay氏である。同氏は脆弱性の発見だけでなく、修正プログラムの提供にも携わった。迅速な対応によって、潜在的なリスクの軽減に大きく貢献したと言えるだろう。
この脆弱性は、暗号署名の検証が不適切であることが原因だ。具体的には、adbe.pkcs7.sha1サブフィルターを使用するPDF署名の検証において、不正な署名を適切に拒否できないという問題が存在する。このため、悪意のある攻撃者によって改ざんされたPDF文書が、有効な署名を持つものとして認識されてしまう可能性があるのだ。
影響を受けるLibreOfficeバージョンと対策
バージョン | 影響 | 対策 |
---|---|---|
LibreOffice 24.8 < 24.8.6 | 影響を受ける | 24.8.6以上にアップデートする |
LibreOffice 25.2 < 25.2.2 | 影響を受ける | 25.2.2以上にアップデートする |
CVE-2025-2866と暗号署名検証
CVE-2025-2866は、LibreOfficeにおける暗号署名検証の不備に起因する脆弱性である。この脆弱性によって、不正なPDF署名が有効と判定される可能性がある。
- 暗号署名の検証プロセスにおける欠陥
- adbe.pkcs7.sha1サブフィルターの脆弱性
- 不正な署名の検出と拒否の失敗
この脆弱性は、PDF文書の改ざん検出機能を無効化し、なりすましや情報漏洩などの深刻なセキュリティリスクにつながる可能性がある。そのため、速やかな対策が不可欠だ。
CVE-2025-2866に関する考察
今回のLibreOfficeの脆弱性CVE-2025-2866の修正は、迅速な対応がなされた点で評価できる。しかし、今後、より高度な攻撃手法が登場する可能性も考慮する必要があるだろう。新たな脆弱性の発見や、既存の脆弱性の悪用を目的とした高度な攻撃手法の開発も考えられるのだ。
対策としては、定期的なソフトウェアアップデートの実施が重要だ。さらに、多要素認証やアクセス制御などのセキュリティ対策を強化することで、リスクを軽減できるだろう。ユーザー教育も重要であり、フィッシングメールや不正なウェブサイトへのアクセスを避けるための啓発活動も必要となる。
将来的には、より堅牢な暗号化技術や署名検証アルゴリズムの採用が期待される。また、セキュリティ監査の強化や、脆弱性発見のための積極的な取り組みも必要となるだろう。LibreOfficeの開発チームには、継続的なセキュリティ向上への取り組みを期待したい。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2025-2866」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-2866, (参照 2025-05-15).