
NDMP(Network Data Management Protocol)とは
NDMP(Network Data Management Protocol)は、ネットワークに接続された異なる種類のストレージデバイス間でデータをバックアップおよび復元するための標準プロトコルです。これにより、企業はネットワーク環境全体でデータ管理を効率化し、ベンダーに依存しないバックアップソリューションを構築できます。NDMPは、バックアップソフトウェアがストレージデバイスと直接通信できるようにすることで、バックアップサーバーの負荷を軽減し、高速なデータ転送を実現します。
NDMPの主な目的は、LANフリーバックアップを可能にすることです。従来のバックアップ方式では、バックアップサーバーがすべてのデータをネットワーク経由で転送する必要があり、ネットワーク帯域幅を圧迫していました。NDMPを使用すると、データは直接ストレージデバイス間で転送されるため、ネットワークのボトルネックを解消し、バックアップ時間を短縮できます。このアーキテクチャは、大規模なデータセンターや分散環境において特に有効です。
NDMPは、データの整合性を確保するためのメカニズムも提供します。バックアッププロセス中にエラーが発生した場合、NDMPはエラーを検出し、必要に応じて再試行または中断します。また、NDMPは、データの暗号化や圧縮などのセキュリティ機能もサポートしており、データの保護を強化できます。これらの機能により、企業はコンプライアンス要件を満たし、機密データを安全に管理できます。
NDMPの仕組みと構成
「NDMPの仕組みと構成」に関して、以下を解説していきます。
- NDMPの主要コンポーネント
- NDMPの動作シーケンス
NDMPの主要コンポーネント
NDMPの主要コンポーネントは、NDMPクライアントとNDMPサーバーの2つです。NDMPクライアントは、バックアップソフトウェアの一部として動作し、バックアップジョブの制御と管理を行います。NDMPサーバーは、ストレージデバイスに組み込まれており、データの読み書きやデバイスの制御を行います。これらのコンポーネントが連携して、効率的なデータバックアップと復元を実現します。
NDMPクライアントとNDMPサーバー間の通信は、TCP/IPネットワークを介して行われます。NDMPクライアントは、NDMPサーバーに対してバックアップまたは復元要求を送信し、NDMPサーバーは要求に応じてデータを転送します。NDMPプロトコルは、データの転送方法や制御メッセージの形式を定義しており、異なるベンダーの製品間でも互換性を確保できます。これにより、企業は柔軟なバックアップソリューションを構築できます。
コンポーネント名 | 主な機能 | 役割 |
---|---|---|
NDMPクライアント | バックアップジョブ管理 | バックアップ制御 |
NDMPサーバー | データ読み書き | データ転送 |
TCP/IPネットワーク | 通信経路確立 | データ伝送 |
制御メッセージ | コマンド伝達 | 動作指示 |
NDMPの動作シーケンス
NDMPの動作シーケンスは、バックアップ開始から完了までのプロセスを定義します。まず、NDMPクライアントは、バックアップ対象のストレージデバイスに接続されているNDMPサーバーに接続要求を送信します。NDMPサーバーは、クライアントの認証を行い、接続を確立します。次に、NDMPクライアントは、バックアップジョブのパラメータ(バックアップ対象のファイルやディレクトリ、バックアップ先のストレージデバイスなど)をNDMPサーバーに送信します。
NDMPサーバーは、パラメータに基づいてデータの読み取りを開始し、指定されたバックアップ先にデータを転送します。データ転送中、NDMPクライアントは、NDMPサーバーからステータス情報を受信し、バックアップの進捗状況を監視します。バックアップが完了すると、NDMPサーバーはNDMPクライアントに完了通知を送信し、接続を閉じます。このシーケンスにより、効率的かつ信頼性の高いバックアッププロセスが実現します。
ステップ | 処理内容 | 関連コンポーネント |
---|---|---|
接続確立 | クライアントがサーバーへ接続 | NDMPクライアント、NDMPサーバー |
パラメータ送信 | バックアップ設定をサーバーへ伝達 | NDMPクライアント、NDMPサーバー |
データ転送 | サーバーがデータをバックアップ先へ転送 | NDMPサーバー |
完了通知 | バックアップ完了をクライアントへ通知 | NDMPサーバー、NDMPクライアント |