
仮想メモリとは
仮想メモリとは、物理メモリ(RAM)の容量が不足した場合に、ハードディスクなどのストレージの一部をメモリとして利用する技術です。これにより、物理メモリの制限を超えた大きなプログラムを実行したり、多くのプログラムを同時に実行したりできます。仮想メモリは、コンピュータのパフォーマンスを向上させるために重要な役割を果たします。
仮想メモリは、オペレーティングシステム(OS)によって管理され、ユーザーは仮想メモリの存在を意識することなく利用できます。OSは、プログラムが使用するメモリ空間を仮想アドレスとして管理し、必要に応じて物理アドレスに変換します。この変換処理は、メモリ管理ユニット(MMU)と呼ばれるハードウェアによって効率的に行われます。
仮想メモリを使用することによって、物理メモリの容量が限られている場合でも、より多くのプログラムを同時に実行できるようになります。また、プログラムが使用するメモリ空間を効率的に管理することによって、メモリの断片化を抑制し、システムの安定性を向上させることが可能です。仮想メモリは、現代のコンピュータシステムにおいて不可欠な技術と言えるでしょう。
仮想メモリの仕組み
「仮想メモリの仕組み」に関して、以下を解説していきます。
- ページング方式
- アドレス変換
ページング方式
ページング方式は、仮想メモリを実現するための主要な技術であり、仮想アドレス空間と物理アドレス空間を固定サイズのページに分割し、それらを対応付けることによって、効率的なメモリ管理を実現します。この方式によって、プログラムは連続した仮想アドレス空間を使用できるため、物理メモリの配置を意識する必要がありません。
ページング方式では、仮想アドレス空間はページと呼ばれる固定サイズのブロックに分割され、物理アドレス空間も同様にフレームと呼ばれる固定サイズのブロックに分割されます。OSは、仮想ページのデータを物理フレームに格納し、ページテーブルと呼ばれるデータ構造を用いて、仮想ページと物理フレームの対応関係を管理します。
項目 | 説明 | 利点 |
---|---|---|
仮想アドレス | プログラムが使用するアドレス | 連続したメモリ空間 |
物理アドレス | 実際の物理メモリのアドレス | 実際のメモリ位置を示す |
ページテーブル | 仮想アドレスと物理アドレスの対応表 | アドレス変換に使用 |
ページング | メモリを固定サイズに分割 | メモリ管理の効率化 |
アドレス変換
アドレス変換は、CPUが生成した仮想アドレスを物理メモリ上の実際のアドレスに変換するプロセスであり、メモリ管理ユニット(MMU)と呼ばれるハードウェアによって行われます。この変換処理は、プログラムが物理メモリの配置を意識せずに動作するために不可欠です。
MMUは、仮想アドレスを受け取ると、ページテーブルを参照して対応する物理アドレスを特定します。もし、仮想アドレスに対応するページが物理メモリに存在しない場合(ページフォールト)、OSはハードディスクなどのストレージから必要なデータを物理メモリにロードし、ページテーブルを更新します。この一連の処理によって、プログラムは物理メモリの容量を超えたメモリ空間を利用できます。
項目 | 説明 | 役割 |
---|---|---|
MMU | プログラムが使用するアドレス | 連続したメモリ空間 |
TLB | 実際の物理メモリのアドレス | 実際のメモリ位置を示す |
ページフォールト | 仮想アドレスと物理アドレスの対応表 | アドレス変換に使用 |
アドレス空間 | メモリを固定サイズに分割 | メモリ管理の効率化 |