
ポーリングとは
ポーリングとは、複数の機器やプログラムの状態を順番に確認し、データ収集や処理を行う通信制御方式です。ポーリング方式では、中央の制御装置が各端末に対して順番に「何かデータはありますか」と問い合わせを行い、データがあれば送信を要求します。この方式は、ネットワーク上のリソースを効率的に管理し、データの衝突を防ぐために用いられます。
ポーリングは、データ通信だけでなく、CPUが周辺機器の状態を監視する際にも利用される技術です。例えば、キーボードやマウスからの入力があるかどうかを定期的に確認する処理もポーリングの一種です。このように、ポーリングは様々なシステムにおいて、データの取得や状態の監視に不可欠な役割を果たしています。
ポーリングの主な利点は、制御が集中化されているため、各端末が自由にデータを送信する際に発生する衝突を回避できることです。しかし、ポーリングには、問い合わせに応答がない端末に対しても定期的に問い合わせを行うため、ネットワークの帯域を無駄に消費するという欠点も存在します。そのため、ポーリングは、リアルタイム性が求められるシステムや、多数の端末が頻繁にデータを送信する環境には不向きです。
ポーリングの仕組みと種類
「ポーリングの仕組みと種類」に関して、以下を解説していきます。
- ポーリングの基本的な仕組み
- ポーリングの種類(ソフトウェア/ハードウェア)
ポーリングの基本的な仕組み
ポーリングの基本的な仕組みは、マスターと呼ばれる制御装置が、スレーブと呼ばれる複数の端末に対して順番にデータ送信の要求を出すことです。マスターは各スレーブに対して「データはありますか」という問い合わせを送信し、スレーブはデータがあればマスターにデータを送信します。データがない場合は、その旨をマスターに通知し、マスターは次のスレーブに問い合わせを行います。
この一連のやり取りを繰り返すことで、マスターは全ての端末から必要なデータを収集できます。ポーリング方式は、中央制御方式であるため、ネットワーク全体のトラフィックを管理しやすく、データの衝突を避けることが可能です。しかし、マスターが各端末を順番にポーリングするため、端末数が多いほどポーリングにかかる時間が増加し、リアルタイム性が損なわれる可能性があります。
要素 | 詳細 | 補足 |
---|---|---|
マスター | 制御装置 | ポーリングを開始 |
スレーブ | 各端末 | 要求に応答 |
問い合わせ | データ有無 | 確認メッセージ |
データ送信 | 有りの場合 | マスターへ送信 |
ポーリングの種類(ソフトウェア/ハードウェア)
ポーリングには、ソフトウェアポーリングとハードウェアポーリングの2種類が存在し、それぞれ異なる方法で実装されます。ソフトウェアポーリングは、CPUがプログラムを通じて周辺機器や他のデバイスの状態を定期的に確認する方法です。この方式は柔軟性が高く、様々なデバイスに対応できますが、CPUの負荷が高くなる傾向があります。
一方、ハードウェアポーリングは、専用のハードウェア回路がポーリング処理を行う方式です。ハードウェアポーリングは、CPUの負荷を軽減し、高速なポーリング処理を実現できますが、ソフトウェアポーリングに比べて柔軟性に欠けます。どちらの方式を選択するかは、システムの要件や利用環境によって異なります。例えば、リアルタイム性が求められるシステムでは、ハードウェアポーリングが適している場合があります。
種類 | 特徴 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
ソフトウェア | CPUで実行 | 柔軟性高い | CPU負荷大 |
ハードウェア | 専用回路 | 高速処理 | 柔軟性低い |
リアルタイム性 | 重要視 | ハード推奨 | 要件で選択 |
CPU負荷 | 軽減重視 | ハード推奨 | 要件で選択 |