
AES(Advanced Encryption Standard)とは
AES(Advanced Encryption Standard)は、共通鍵暗号方式の一つであり、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)によって2001年に規格化されました。AESは、従来のDES(Data Encryption Standard)に代わるものとして開発され、より高い安全性と効率性を提供します。AESは、現在広く利用されている暗号化アルゴリズムであり、様々なアプリケーションやプロトコルで使用されています。
AESは、128ビット、192ビット、256ビットの3種類の鍵長をサポートしており、それぞれAES-128、AES-192、AES-256と呼ばれます。鍵長が長くなるほど、暗号化の強度は高まりますが、計算量も増加します。AESは、ブロック暗号であり、データを固定長のブロックに分割して暗号化します。AESのブロック長は128ビットです。
AESは、SPN構造(Substitution-Permutation Network)と呼ばれる構造を採用しており、複数のラウンドと呼ばれる処理を繰り返すことで暗号化を行います。各ラウンドでは、Substitution(置換)、Permutation(並び替え)、Mixing(混合)などの処理が行われ、データの攪拌と拡散が行われます。AESは、ハードウェアおよびソフトウェアでの実装が容易であり、高速な暗号化処理を実現できます。
AESの仕組みと安全性
「AESの仕組みと安全性」に関して、以下を解説していきます。
- AESの暗号化プロセス
- AESの安全性評価
AESの暗号化プロセス
AESの暗号化プロセスは、初期ラウンド鍵の追加、複数のラウンド処理、および最終ラウンド処理で構成されます。各ラウンドは、SubBytes(バイト置換)、ShiftRows(行シフト)、MixColumns(列混合)、AddRoundKey(ラウンド鍵加算)の4つの変換からなります。これらの変換を繰り返すことで、平文は暗号文へと変換されます。
SubBytes変換では、各バイトはS-boxと呼ばれる置換テーブルに基づいて別のバイトに置き換えられます。ShiftRows変換では、各行のバイトが一定数だけ左にシフトされます。MixColumns変換では、各列のバイトが特定の行列と乗算されます。AddRoundKey変換では、ラウンド鍵が現在の状態にXORされます。
処理 | 内容 | 目的 |
---|---|---|
SubBytes | バイト置換 | 非線形性の導入 |
ShiftRows | 行シフト | バイトの拡散 |
MixColumns | 列混合 | 列方向の拡散 |
AddRoundKey | ラウンド鍵加算 | 鍵依存性の追加 |
AESの安全性評価
AESの安全性は、差分解読法や線形解読法などの様々な暗号解読法に対して評価されています。現在までに、AESに対する実用的な攻撃は発見されていません。AESは、その高い安全性から、政府機関や金融機関など、機密性の高い情報を扱う組織で広く採用されています。
AESの安全性は、鍵長に依存します。AES-128は、十分な安全性を提供しますが、より高い安全性を求める場合は、AES-192またはAES-256を使用することが推奨されます。AESは、ハードウェアおよびソフトウェアでの実装が容易であり、高速な暗号化処理を実現できるため、様々なアプリケーションに適しています。
評価項目 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
差分解読法 | 入力差分と出力差分の関係 | 耐性あり |
線形解読法 | 線形近似の利用 | 耐性あり |
サイドチャネル攻撃 | 電力消費や実行時間の解析 | 対策が必要 |
鍵長 | 128/192/256ビット | 長いほど安全 |