
FAT(File Allocation Table)とは
FAT(File Allocation Table)は、ファイルシステムの一種であり、主に古いオペレーティングシステムで使用されていました。ファイルシステムとは、データを効率的に保存・管理するための仕組みであり、FATはその中でも比較的単純な構造を持っています。FATは、ハードディスクやUSBメモリなどの記憶媒体上で、ファイルやディレクトリの配置場所を記録し、管理する役割を担います。
FATの主な役割は、ファイルがどこに保存されているかを記録し、必要な時に迅速にアクセスできるようにすることです。具体的には、ファイルが複数の場所に分割されて保存されている場合でも、FATはそれらの場所を繋ぎ合わせ、一つのファイルとして認識させます。この仕組みによって、ユーザーはファイルを意識することなく、スムーズに利用できます。FATは、MS-DOSやWindows 95/98などの古いOSで広く利用されていましたが、現在ではより高度なファイルシステムに移行が進んでいます。
FATにはいくつかの種類があり、FAT12、FAT16、FAT32などが存在します。これらの違いは、扱えるディスクの容量やファイルサイズの上限にあります。例えば、FAT12はフロッピーディスクでよく使用され、FAT16は初期のハードディスクで使用されました。FAT32は、より大容量のハードディスクに対応するために開発され、Windows 95 OSR2以降で広く採用されました。しかし、FAT32にもファイルサイズの制限があり、4GBを超えるファイルを扱うことができません。そのため、現在ではNTFSなどのより高度なファイルシステムが主流となっています。
FATの構造と種類
「FATの構造と種類」に関して、以下を解説していきます。
- FATの基本的な構造
- FATの種類と特徴(FAT12/16/32)
FATの基本的な構造
FATの基本的な構造は、ブートセクタ、FAT領域、ルートディレクトリ領域、データ領域の4つの部分から構成されています。ブートセクタは、ファイルシステムに関する情報やOSを起動するためのプログラムが格納されており、システム起動時に最初に読み込まれる重要な領域です。FAT領域は、ファイルやディレクトリの配置情報が記録されたテーブルであり、ファイルシステムの中核を担います。
ルートディレクトリ領域は、ファイルシステムの最上位のディレクトリ情報を格納する場所であり、データ領域は、実際のファイルデータが保存される領域です。FAT領域は、クラスタと呼ばれる固定長のブロック単位で管理されており、各クラスタがどのファイルに属しているか、または空き領域であるかが記録されています。この構造によって、ファイルシステムは効率的にデータの読み書きを行うことができます。
構成要素 | 役割 | 詳細 |
---|---|---|
ブートセクタ | 起動情報 | OS起動プログラムを含む |
FAT領域 | 配置情報 | ファイルとディレクトリの場所を記録 |
ルートディレクトリ | 最上位情報 | ファイルシステムの起点 |
データ領域 | ファイルデータ | 実際のファイル内容を保存 |
FATの種類と特徴(FAT12/16/32)
FATには、FAT12、FAT16、FAT32といった種類が存在し、それぞれ扱えるディスク容量やファイルサイズに違いがあります。FAT12は、主にフロッピーディスクで使用され、最大で数MB程度の容量を扱うことができます。FAT16は、初期のハードディスクで使用され、最大で2GB程度の容量に対応していました。FAT32は、より大容量のハードディスクに対応するために開発され、最大で2TB程度の容量を扱うことができます。
FAT32は、FAT16に比べてファイル管理の効率が向上しましたが、4GBを超えるファイルを扱うことができないという制限があります。それぞれのFATは、ファイルシステムを構成するクラスタのサイズや、管理できるクラスタ数に違いがあり、それが扱える容量の差に繋がっています。現在では、NTFSなどのより高度なファイルシステムが主流となり、FAT32の使用頻度は減少していますが、USBメモリやSDカードなどの一部の記憶媒体では、依然として利用されています。
種類 | 最大容量 | 特徴 |
---|---|---|
FAT12 | 起動情報 | OS起動プログラムを含む |
FAT16 | 配置情報 | ファイルとディレクトリの場所を記録 |
FAT32 | 最上位情報 | ファイルシステムの起点 |