
DS-Liteとは
DS-Liteは、IPv4アドレスを共有してインターネット接続を実現する技術です。従来のIPv4アドレス枯渇問題を解決するために開発されました。これにより、プロバイダは限られたIPv4アドレスを効率的に利用できます。
DS-Liteは、IPv6ネットワーク上でIPv4通信を可能にする技術でもあります。具体的には、IPv4パケットをIPv6パケットにカプセル化して伝送します。この仕組みにより、IPv6環境でも既存のIPv4コンテンツを利用可能です。
DS-Liteの導入には、プロバイダ側の設備とユーザー側のルーター対応が不可欠です。プロバイダは、IPv4アドレスを共有するためのAFTR(Address Family Transition Router)を設置します。ユーザーは、DS-Liteに対応したルーターを使用する必要があります。
DS-Liteの仕組み
「DS-Liteの仕組み」に関して、以下を解説していきます。
- DS-Liteの基本構造
- DS-Liteの通信手順
DS-Liteの基本構造
DS-Liteは、B4(Basic Bridging BroadBand)ルーターとAFTR(Address Family Transition Router)で構成されます。B4ルーターは、ユーザー宅に設置され、IPv4パケットをIPv6パケットに変換する役割を担います。AFTRは、プロバイダ側に設置され、IPv6パケットからIPv4パケットを取り出し、インターネットへ転送します。
この構造により、ユーザーはIPv6ネットワークを経由してIPv4インターネットにアクセスできます。B4ルーターは、ユーザーのIPv4端末からの通信をIPv6に変換し、AFTRへ送信します。AFTRは、受信したIPv6パケットをIPv4に戻し、宛先サーバーへ転送します。
構成要素 | 役割 | 設置場所 |
---|---|---|
B4ルーター | IPv4/IPv6変換 | ユーザー宅 |
AFTR | IPv6/IPv4変換 | プロバイダ |
IPv6網 | データ伝送 | プロバイダ |
IPv4網 | インターネット | グローバル |
DS-Liteの通信手順
DS-Liteの通信手順は、まずユーザーの端末から送信されたIPv4パケットがB4ルーターでIPv6パケットにカプセル化されることから始まります。次に、カプセル化されたIPv6パケットは、プロバイダのIPv6ネットワークを経由してAFTRへ送信されます。AFTRは、受信したIPv6パケットからIPv4パケットを取り出し、インターネット上の宛先サーバーへ転送します。
宛先サーバーからの応答は、AFTRで再びIPv6パケットにカプセル化され、B4ルーターへ送信されます。B4ルーターは、受信したIPv6パケットからIPv4パケットを取り出し、ユーザーの端末へ転送します。この一連の流れによって、ユーザーはIPv6ネットワークを通じてIPv4インターネットを利用できます。
ステップ | 内容 | 処理 |
---|---|---|
1 | IPv4送信 | 端末→B4ルーター |
2 | IPv6カプセル化 | B4ルーター |
3 | IPv6送信 | B4ルーター→AFTR |
4 | IPv4変換 | AFTR |