
世代別ガベージコレクションとは
世代別ガベージコレクションは、オブジェクトの生存期間に着目したメモリ管理手法です。多くのプログラムでは、生成されてから比較的短い時間で不要になるオブジェクトが多く存在します。この特性を利用し、ガベージコレクションの効率を向上させるのが世代別ガベージコレクションの基本的な考え方です。
具体的には、メモリ領域を複数の「世代」に分け、若い世代ほど頻繁にガベージコレクションを実行します。これは、若い世代に存在するオブジェクトほど不要になる可能性が高いという前提に基づいています。一方、長く生存しているオブジェクトは、今後も生存する可能性が高いとみなし、ガベージコレクションの頻度を下げます。
世代別ガベージコレクションを導入することで、ガベージコレクションにかかる処理時間を短縮し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させることが期待できます。特に、大規模なアプリケーションや、リアルタイム性が求められるシステムにおいては、その効果が顕著に現れるでしょう。
世代別GC(ガベージコレクション)の仕組み
「世代別GC(ガベージコレクション)の仕組み」に関して、以下を解説していきます。
- 世代の区分とGCの頻度
- オブジェクトの昇格(Promotion)
世代の区分とGCの頻度
世代別ガベージコレクションでは、通常、メモリ領域は「若い世代」と「年老いた世代」の2つ以上に区分されます。若い世代は、新しく生成されたオブジェクトが割り当てられる領域であり、ガベージコレクションが頻繁に実行されます。年老いた世代は、若い世代で生き残ったオブジェクトが移動される領域であり、ガベージコレクションの頻度は低いです。
若い世代に対するガベージコレクションは「マイナーGC」と呼ばれ、年老いた世代に対するガベージコレクションは「メジャーGC」と呼ばれることがあります。マイナーGCは、比較的高速に完了するため、アプリケーションへの影響を最小限に抑えることが可能です。一方、メジャーGCは、処理に時間がかかるため、実行頻度を抑える必要があります。
世代 | 特徴 | GC頻度 |
---|---|---|
若い世代 | 新規オブジェクトが多い | 高い |
年老いた世代 | 生存期間が長いオブジェクト | 低い |
Tenured世代 | Full GC対象 | 非常に低い |
Permanent世代 | クラス定義などを格納 | ほぼなし |
オブジェクトの昇格(Promotion)
オブジェクトが若い世代でのガベージコレクションを複数回生き残ると、そのオブジェクトはより年老いた世代へと移動されます。このプロセスは「昇格(Promotion)」と呼ばれます。昇格は、オブジェクトが長期間にわたって利用される可能性が高いことを示唆します。昇格によって、不要なオブジェクトが年老いた世代に移動することを防ぎ、年老いた世代でのガベージコレクションの効率を向上させます。
昇格の基準は、ガベージコレクションの実装によって異なりますが、通常、オブジェクトが生き残ったガベージコレクションの回数に基づいて決定されます。また、年老いた世代の容量が不足した場合にも、昇格が発生することがあります。適切な昇格戦略を選択することは、世代別ガベージコレクションのパフォーマンスを最適化する上で重要です。
用語 | 説明 | 目的 |
---|---|---|
昇格 | オブジェクトの世代移動 | GC効率向上 |
閾値 | 昇格判断基準 | 最適化 |
生存回数 | GCを生き残った回数 | 判断材料 |
Full GC | 全世代対象のGC | 最終手段 |