
CIDR表記(Classless Inter-Domain Routing)とは
CIDR表記は、IPアドレスの割り当てとルーティングを効率化するための表記法です。従来のクラスベースのアドレス指定方式の限界を克服するために開発されました。CIDR表記を理解することで、ネットワーク設計や管理における柔軟性が向上します。
CIDR表記は、IPアドレスとプレフィックス長を組み合わせてネットワークアドレスを表します。プレフィックス長は、ネットワーク部を示すビット数を示し、残りのビットはホスト部として使用されます。この表記法によって、連続したIPアドレス範囲を効率的に表現できます。
CIDR表記は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や企業ネットワークにおいて広く利用されています。IPアドレスの割り当てを細かく制御し、ルーティングテーブルのサイズを削減することが可能です。ネットワーク管理者は、CIDR表記を理解することで、ネットワークの構成と運用を最適化できます。
CIDR表記の仕組み
「CIDR表記の仕組み」に関して、以下を解説していきます。
- プレフィックス長とは
- サブネットマスクとの違い
プレフィックス長とは
プレフィックス長は、CIDR表記においてネットワークアドレスの範囲を決定する重要な要素です。IPアドレスのうち、ネットワークアドレスとして使用されるビット数を示します。プレフィックス長を理解することで、ネットワークの規模や利用可能なホスト数を把握できます。
プレフィックス長は「/(スラッシュ)」記号に続けて記述され、例えば「192.168.1.0/24」のように表現されます。この場合、最初の24ビットがネットワークアドレス、残りの8ビットがホストアドレスとして使用されます。プレフィックス長を変更することで、ネットワークのサイズを柔軟に調整できます。
プレフィックス長 | 利用可能IP数 | ネットワーク規模 |
---|---|---|
/24 | 256個 | 小規模 |
/20 | 4096個 | 中規模 |
/16 | 65536個 | 大規模 |
/8 | 16777216個 | 超大規模 |
サブネットマスクとの違い
サブネットマスクとプレフィックス長は、どちらもネットワークアドレスを識別するために使用されますが、表現方法が異なります。サブネットマスクは、IPアドレスを構成する32ビットを使い、ネットワーク部を「1」、ホスト部を「0」で表します。プレフィックス長は、ネットワーク部のビット数を直接指定します。
サブネットマスクは、ドット区切りの10進数で表現され、例えば「255.255.255.0」のように記述されます。プレフィックス長は「/24」のように簡潔に表現できるため、CIDR表記では一般的にプレフィックス長が使用されます。プレフィックス長はサブネットマスクよりも直感的で、ネットワーク管理を容易にします。
サブネットマスク | プレフィックス長 | |
---|---|---|
表現形式 | ドット区切り10進数 | スラッシュ表記 |
例 | 255.255.255.0 | /24 |
利点 | 従来の互換性 | 簡潔で直感的 |
用途 | レガシーシステム | 現代的なネットワーク |