
Electromagnetic Compatibilityとは
Electromagnetic Compatibility(EMC)とは、電子機器が電磁環境において意図したとおりに機能し、他の機器に悪影響を与えない能力を指します。EMCは、電子機器の設計、製造、使用において非常に重要な考慮事項です。EMCを確保することで、機器の誤動作を防ぎ、電波干渉による通信障害を回避し、安全な利用環境を構築できます。
EMCは、Emission(エミッション:妨害波の放射)とImmunity(イミュニティ:耐性)の2つの側面から評価されます。エミッションは、機器が外部に放出する電磁波のレベルを規制するもので、他の機器への干渉を防ぐことが目的です。イミュニティは、外部からの電磁波に対する機器の耐性を評価するもので、外部ノイズによる誤動作を防ぐことが目的です。
EMC対策は、電子機器が正常に動作するために不可欠であり、多くの国や地域で法規制によって義務付けられています。EMC規格に適合した製品は、安全で信頼性が高いとみなされ、市場での競争力を高めることができます。EMCに関する知識と対策は、電子機器の開発者や設計者にとって必要不可欠なスキルです。
EMC規格と試験
「EMC規格と試験」に関して、以下を解説していきます。
- EMC規格の種類
- EMC試験の内容
EMC規格の種類
EMC規格は、製品の種類や用途に応じて様々なものが存在し、国際規格、地域規格、国家規格などがあります。これらの規格は、エミッションとイミュニティの許容レベルや試験方法を規定しており、製品がこれらの基準を満たす必要があります。規格に適合することで、製品の品質と安全性が保証され、国際市場へのアクセスも容易になります。
代表的なEMC規格には、国際電気標準会議(IEC)のIEC規格、欧州連合(EU)のEN規格、米国のFCC規格などがあります。IEC規格は、世界中で広く採用されており、EN規格はEU加盟国で販売される製品に適用されます。FCC規格は、米国で販売される電子機器に適用され、これらの規格は定期的に改訂され、最新の技術動向や安全要件に対応しています。
規格の種類 | 主な内容 | 対象地域 |
---|---|---|
IEC規格 | 国際的なEMC基準 | 世界 |
EN規格 | EUのEMC指令整合規格 | EU加盟国 |
FCC規格 | 米国のEMC規制 | 米国 |
VCCI規格 | 日本のEMC自主規制 | 日本 |
EMC試験の内容
EMC試験は、製品がEMC規格に適合しているかどうかを評価するために行われ、エミッション試験とイミュニティ試験の2種類があります。エミッション試験では、製品から放射される電磁波の強度を測定し、規格で定められた許容値を超えていないかを確認します。イミュニティ試験では、製品に外部からの電磁波を照射し、誤動作や性能劣化が発生しないかを確認します。
エミッション試験には、放射エミッション試験と伝導エミッション試験があり、放射エミッション試験では、製品から空間に放射される電磁波を測定します。伝導エミッション試験では、電源線や信号線を伝わって放出される電磁波を測定します。イミュニティ試験には、放射イミュニティ試験、伝導イミュニティ試験、静電気放電(ESD)試験などがあり、これらの試験を通じて、製品の耐性を評価します。
試験の種類 | 試験内容 | 評価項目 |
---|---|---|
放射エミッション | 空間に放射される電磁波測定 | 電磁波強度 |
伝導エミッション | 電源線伝導ノイズ測定 | ノイズレベル |
放射イミュニティ | 電磁波照射による耐性試験 | 誤動作有無 |
静電気放電(ESD) | 静電気放電に対する耐性試験 | 誤動作有無 |