
目次
記事の要約
- 西濃運輸がAIを活用した安全運転管理システムを導入
- 約1万台のドライブレコーダーにAI解析システム「アクレス」導入
- 危険運転の自動検知による事故率低減と業務効率化を目指す
西濃運輸、AIによる安全運転管理システム導入を発表
西濃運輸株式会社とTeatis Inc.は2025年5月8日、AI技術「アクレス」を活用した安全運転管理システムの導入を発表した。このシステムは、西濃運輸が国内全拠点に導入している約1万台のドライブレコーダーに搭載される。
「アクレス」は、ドライブレコーダー映像をAIで解析し、危険運転を自動検知する。これにより、安全管理担当者は危険な箇所のみを確認すれば良くなり、大幅な時間短縮と事故率低減が期待できるのだ。導入は4月から順次開始され、6月には全188拠点での導入完了を予定している。
西濃運輸はこれまで、ドライバーの運転実績を目視でチェックしていたが、大きな労力と精度の平準化に課題があった。そのため、AI技術の活用を検討し、解析品質とアウトプット機能の豊富さから「アクレス」を選定したのだ。トライアルでは、ドライバー一人あたり月間30分の時間短縮と、人手では気づかない危険運転の検知を実現している。
「アクレス」は、ドライブレコーダーの入れ替えやシステムインストールが不要で、AI技術をすぐに利用できる点が特徴だ。独自のVLM(大規模視覚言語モデル)と2000時間の商業車両運転映像データにより、危険運転の高精度な自動検知を実現している。
アクレス導入概要と効果
項目 | 詳細 |
---|---|
導入対象 | 西濃運輸国内全拠点 約1万台 |
導入開始時期 | 2025年4月 |
導入完了予定時期 | 2025年6月 |
導入拠点数 | 188拠点 |
AI技術 | Teatis Inc.開発 アクレス |
トライアル実施拠点 | 2拠点 |
トライアル結果 | ドライバー一人あたり月間30分以上の時間短縮、誤検知・取りこぼしなし |
AIによる危険運転検知システム アクレス
アクレスは、独自のVLM(大規模視覚言語モデル)と2000時間の商業車両の運転映像データを用いて開発されたAIシステムだ。ドライブレコーダー映像を自動で解析し、シートベルト非着用、わき見運転、居眠り運転、姿勢制御不良などの危険運転を検知する。
- 高精度な危険運転検知
- ドライブレコーダー交換不要
- システムインストール不要
これにより、安全管理担当者の作業負担を軽減し、チェック精度の向上と均一化を実現する。西濃運輸の安全指導ノウハウを学習させることで、機能強化も予定されている。
西濃運輸におけるAI導入に関する考察
西濃運輸におけるAI導入は、安全運転管理の高度化と効率化に大きく貢献するだろう。人的なミスを減らし、安全性を向上させることで、事故率の低減と企業イメージの向上も期待できる。しかし、AIシステムの導入には、初期投資やシステム維持管理にかかる費用、AIの学習データの質や量による精度の限界、プライバシー保護に関する課題などが考えられる。
これらの問題に対しては、導入費用を抑えるためのクラウドサービスの活用や、継続的なシステムメンテナンス、データの匿名化処理などが有効な解決策となるだろう。また、AIシステムの精度向上のためには、より多くのデータ収集と、AIモデルの継続的な学習が必要となる。さらに、ドライバーへの教育や、システム操作に関するトレーニングも重要だ。
今後、アクレスはセイノー輸送グループ全体への展開、そして物流業界全体への活用拡大が期待される。発進時の5点確認や後退時の6点確認など、西濃運輸の安全指導ノウハウを学習させることで、より精度の高い安全運転支援ツールへと進化していくことを期待したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「西濃運輸がAIを活用し、安全運転管理の高度化と効率化を推進 | Teatis inc.のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000157025.html, (参照 2025-05-08).