目次
記事の要約
- ArmがMali GPU Kernel Driverの脆弱性を公開
- Use After Free脆弱性により、解放済みメモリへのアクセスが可能に
- Bifrost、Valhall、Arm 5th Gen GPUアーキテクチャのドライバーに影響
ArmがMali GPU Kernel Driverの脆弱性を公開
Arm Limitedは2025年5月2日、Mali GPU Kernel DriverにおけるUse After Free脆弱性(CVE-2025-0427)を公開した。この脆弱性により、ローカルの非特権ユーザープロセスが、既に解放されたメモリにアクセスできる可能性があるのだ。
影響を受けるのは、Bifrost GPU Kernel Driver(r8p0~r49p3、r50p0~r51p0)、Valhall GPU Kernel Driver(r19p0~r49p3、r50p0~r53p0)、Arm 5th Gen GPU Architecture Kernel Driver(r41p0~r49p3、r50p0~r53p0)である。これらのバージョンを使用しているユーザーは、速やかにアップデートを行う必要がある。
Arm Limitedは、脆弱性の詳細と修正方法を公式ドキュメントで公開している。この脆弱性は、システムの安定性やセキュリティに深刻な影響を与える可能性があるため、早急な対応が求められるのだ。
影響を受けるMali GPU Kernel Driverのバージョン
ドライバー名 | 影響を受けるバージョン | 影響を受けないバージョン |
---|---|---|
Bifrost GPU Kernel Driver | r8p0~r49p3、r50p0~r51p0 | r49p4~ |
Valhall GPU Kernel Driver | r19p0~r49p3、r50p0~r53p0 | r49p4~, r54p0~ |
Arm 5th Gen GPU Architecture Kernel Driver | r41p0~r49p3、r50p0~r53p0 | r49p4~, r54p0~ |
Use After Free脆弱性について
Use After Free脆弱性とは、既に解放されたメモリ領域にアクセスしようとする脆弱性のことだ。プログラムがメモリを解放した後も、その領域へのポインタを保持し、アクセスを試みると、予期せぬ動作やクラッシュ、さらには悪意のあるコードの実行につながる可能性がある。
- メモリリークを引き起こす可能性
- プログラムのクラッシュ
- セキュリティ上のリスク
この脆弱性は、メモリ管理の不備によって発生する。適切なメモリ管理を行うことで、この脆弱性を防ぐことが可能だ。
CVE-2025-0427に関する考察
Arm Limitedによる迅速な脆弱性公開と修正パッチの提供は評価できる。しかし、既に多くのデバイスでこのドライバーが使用されていることを考えると、全てのユーザーが速やかにアップデートを行うとは限らない。そのため、アップデートが遅れたデバイスは、攻撃対象となり得るだろう。
この脆弱性を悪用した攻撃は、システムのクラッシュやデータ漏洩、遠隔操作など、様々な被害をもたらす可能性がある。そのため、ユーザーは、Arm Limitedが提供する修正パッチを適用し、セキュリティ対策を強化する必要がある。定期的なシステムアップデートとセキュリティソフトの導入は、セキュリティ対策の基本だ。
今後、より高度なメモリ管理技術の開発や、脆弱性検出ツールの改善が求められるだろう。また、ユーザーへのセキュリティ意識向上のための啓発活動も重要となる。迅速な対応と継続的なセキュリティ対策が、安全なシステム運用に不可欠だ。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2025-0427」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-0427, (参照 2025-05-09).