
目次
記事の要約
- IBMがAIエージェント機能群を発表
- watsonx Orchestrateによるエージェント構築・運用支援
- 人事、調達、営業向け事前構築済みエージェント提供
IBMがAIエージェント機能群を発表
IBMは2025年5月8日、AIエージェントの構築、運用、管理を支援する業界で最も包括的なエージェント機能群を発表した。これは生成AIによる経済的可能性を促進する触媒となると確信しているためだ。
watsonx Orchestrateを通じて提供されるこれらの機能は、事前構築済みエージェント、独自エージェント構築のためのツール、エージェントオーケストレーション、エージェントのオブザーバビリティーなどを含む。これにより、技術的な専門知識の有無に関わらず、すべての人がAIを活用できるようになるのだ。
事前構築済みエージェントとしては、人事、調達、営業向けのエージェントが既に利用可能、もしくは近日中に提供開始予定である。今後はカスタマーケアや財務といった領域にも展開予定だ。
IBM watsonx Orchestrateの機能
機能 | 詳細 |
---|---|
事前構築済みエージェント | 人事、調達、営業向けエージェントなど |
独自エージェント構築 | ノーコードツールとプロコードツールを提供 |
エージェントオーケストレーション | 複数のエージェントを統合し自動化 |
エージェントのオブザーバビリティー | エージェントの使用状況を監視、最適化 |
Agent Catalog | IBMおよびパートナー企業の構築済みツール・エージェントへのアクセスを提供(150以上用意済み) |
watsonx Orchestrate Agent Builder | 5分で独自エージェントを設計できるノーコード自動化スタジオ(パブリックプレビュー開始) |
Agent Development Kit (ADK) | カスタムAIエージェント構築のためのプロコードツールセット(パブリックプレビュー開始) |
watsonx Orchestrateについて
watsonx Orchestrateは、企業全体にわたって作業をオーケストレーションするための統合ソリューションである。マルチエージェントのスーパーバイザー、ルーター、プランナーとして機能し、IBM製、サードパーティ製、オープンソースを問わず、エージェント同士や既存の資産との効果的なコラボレーションを可能にするのだ。
- 80以上の主要エンタープライズアプリケーションと統合済み
- ベンダーロックインを回避
- エンタープライズスタック全体へのエージェント浸透を促進
watsonx Orchestrateは、エージェントの連携だけでなく、既存のテクノロジー投資(自動化、API、データソース、コアアプリケーション)との連携も可能にする。これにより、エージェントは企業のビジネスオペレーションの中で付加価値として機能するのだ。
AIエージェント機能群に関する考察
IBMのAIエージェント機能群は、企業における業務効率化に大きく貢献するだろう。特に、事前構築済みエージェントは導入障壁を低くし、迅速な導入を可能にする点が優れている。しかし、複数のエージェントを連携させる際の複雑さや、セキュリティ面での課題も考慮する必要があるだろう。
起こりうる問題としては、エージェント間のデータ連携におけるセキュリティリスクや、予期せぬエラー発生時の対応などが挙げられる。解決策としては、堅牢なセキュリティ対策の導入や、エラー発生時の自動復旧機能の強化などが考えられる。また、ユーザーインターフェースの改善や、より高度な分析機能の追加も必要となるだろう。
今後追加してほしい機能としては、より高度な自然言語処理能力や、ユーザーのニーズを学習する機械学習機能などが挙げられる。これにより、より人間に近いインタラクションが可能となり、ユーザーエクスペリエンスが向上するだろう。また、様々なビジネスシーンに対応できる汎用性の高いエージェントの開発も期待したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「エージェント型企業の到来: テクノロジー全体でAIを活用 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000628.000046783.html, (参照 2025-05-09).