
目次
記事の要約
- アスエネがASUENEとASUENE LCAのシステム連携を開始
- Scope3算定に必要な1次データの連携を実現
- サプライチェーン全体の排出量管理の精度と効率性が向上
アスエネ、ASUENEとASUENE LCAのシステム連携開始
アスエネ株式会社は2025年5月12日、CO2排出量の見える化・削減・報告クラウドサービス「ASUENE」と、製品・サービスごとのCFP/LCAを算定できるクラウドサービス「ASUENE LCA」のデータ連携機能の提供を開始した。この連携により、Scope3算定に必要な1次データの取得が容易になり、サプライチェーン全体の排出量の管理精度と効率性が向上するのだ。
近年、グローバルにおけるサステナビリティ報告の重要性が高まっており、特にScope3(サプライチェーン由来の排出量)の正確な把握が課題となっている。CSRD(企業サステナビリティ報告指令)やCBAM(炭素国境調整メカニズム)といった欧州の規制強化も背景にある。これらの制度では、サプライチェーン全体にわたる排出量データの提出が求められるため、企業は製品単位での排出量管理をより精緻に行う体制づくりが不可欠となっているのだ。
今回のシステム連携によって、バイヤー企業は「ASUENE」の管理画面上で、サプライヤー企業が「ASUENE LCA」で提供するCFPデータを排出原単位として登録できるようになった。一方、サプライヤー企業はCFPの提出が自動化され、業務負担が軽減される。バイヤーとサプライヤー間のデータやり取りの履歴がシステムに記録されるため、透明性と信頼性の高いデータ連携が実現するのだ。
ASUENEとASUENE LCAの機能比較
項目 | ASUENE | ASUENE LCA |
---|---|---|
機能 | CO2排出量見える化・削減・報告 | CFP/LCA算定 |
対象 | 温室効果ガス・CO2排出量 | 製品・サービスごとのCFP/LCA |
連携 | ASUENE LCAと連携 | ASUENEと連携 |
利点 | Scope1-3の報告・情報開示支援 | CFPデータの自動化・効率化 |
CFP(カーボンフットプリント)について
CFPとは、Carbon Footprint of Productsの略称で、商品やサービスがつくられてから廃棄されるまでのライフサイクル全体で排出されるCO2の総量を指す。製品単位での排出量管理をより精緻に行うために、サプライヤーからバイヤーへ正確なCFPデータの提供が求められているのだ。
- 製品ライフサイクル全体のCO2排出量
- サプライチェーンにおける排出量把握に重要
- 正確なデータ提供がサステナビリティ報告に不可欠
正確なCFPデータの把握は、サステナビリティ報告において非常に重要であり、企業の環境配慮への取り組みを評価する上で重要な指標となる。そのため、今回のASUENEとASUENE LCAの連携は、企業のサステナビリティ経営を支援する上で大きな役割を果たすだろう。
ASUENEとASUENE LCA連携に関する考察
ASUENEとASUENE LCAの連携は、Scope3排出量の算定を容易にし、サプライチェーン全体の排出量管理の精度と効率性を向上させるという点で非常に大きなメリットがある。これにより、企業はCSRDやCBAMといった規制への対応を円滑に進めることができるだろう。しかし、全ての企業がこれらのサービスを利用できるわけではないため、導入コストやシステムの複雑さなどが課題となる可能性もある。
起こり得る問題としては、中小企業における導入コストの負担や、システム操作に関する教育の必要性などが挙げられる。解決策としては、導入支援プログラムの提供や、分かりやすい操作マニュアルの作成などが考えられる。また、将来的には、より多くのサプライヤーとの連携や、多様なデータフォーマットへの対応などが求められるだろう。
今後追加してほしい機能としては、より詳細な排出量分析機能や、削減目標設定支援機能などが挙げられる。また、国際的な排出量取引市場との連携なども期待したい。これらの機能強化によって、企業の脱炭素化に向けた取り組みをさらに支援することが可能になるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「アスエネ、「ASUENE」とCFP/LCA算定クラウドサービス「ASUENE LCA」のシステム連携を開始 | アスエネ株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000513.000058538.html, (参照 2025-05-13).