目次
記事の要約
- Red Hatがlibexpatライブラリの脆弱性CVE-2024-8176を公開
- XMLエンティティ展開の深さの制限が不適切なため、スタックオーバーフローが発生
- サービス拒否(DoS)やメモリ破損につながる可能性がある
Red Hat Enterprise Linuxにおけるlibexpatライブラリの脆弱性修正
Red Hat社は2025年3月14日に、libexpatライブラリにおける深刻な脆弱性CVE-2024-8176を公開した。この脆弱性は、XMLドキュメント内の深くネストされたエンティティ参照を処理する方法に起因するスタックオーバーフロー脆弱性である。
深くネストされたエンティティ参照を含むXMLドキュメントを解析すると、libexpatは無限に再帰処理を強制され、スタック空間を使い果たしてクラッシュする可能性がある。この問題は、サービス拒否(DoS)を引き起こす可能性があり、環境やライブラリの使用方法によっては、悪用可能なメモリ破損につながる可能性もあるのだ。
Red Hatは、Red Hat Enterprise Linux 8、9、10など複数の製品において、この脆弱性に対する修正プログラムをリリースしている。影響を受けるバージョンを使用しているユーザーは、速やかに修正プログラムを適用する必要がある。
影響を受けるRed Hat製品と修正バージョン
製品名 | 影響を受けるバージョン | 修正済みバージョン |
---|---|---|
Red Hat Enterprise Linux 10 | 0より前の2.7.0 | 2.7.1-1.el10_0 |
Red Hat Enterprise Linux 8 | 0:2.2.5-17.el8_10より前 | 2.2.5-17.el8_10 |
Red Hat Enterprise Linux 8.2 Advanced Update Support | 0:1.51.0-11.el8_10より前 | 1.51.0-5.el8_2.2 |
Red Hat Enterprise Linux 8.4 Advanced Mission Critical Update Support | 0:1.51.0-5.el8_4.2より前 | 1.51.0-5.el8_4.2 |
Red Hat Enterprise Linux 8.4 Telecommunications Update Service | 0:1.51.0-5.el8_4.2より前 | 1.51.0-5.el8_4.2 |
Red Hat Enterprise Linux 8.4 Update Services for SAP Solutions | 0:1.51.0-5.el8_4.2より前 | 1.51.0-5.el8_4.2 |
Red Hat Enterprise Linux 8.6 Advanced Mission Critical Update Support | 0:1.51.0-6.el8_6.1より前 | 1.51.0-6.el8_6.1 |
Red Hat Enterprise Linux 8.6 Telecommunications Update Service | 0:1.51.0-6.el8_6.1より前 | 1.51.0-6.el8_6.1 |
Red Hat Enterprise Linux 8.6 Update Services for SAP Solutions | 0:1.51.0-6.el8_6.1より前 | 1.51.0-6.el8_6.1 |
Red Hat Enterprise Linux 8.8 Extended Update Support | 0:1.51.0-8.el8_8.1より前 | 1.51.0-8.el8_8.1 |
Red Hat Enterprise Linux 9 | 0:2.5.0-3.el9_5.3より前 | 2.5.0-3.el9_5.3 |
Red Hat Enterprise Linux 9 | 0:2.5.0-5.el9_6より前 | 2.5.0-5.el9_6 |
DevWorkspace Operator 0.33 | sha256:9cde560029ea98eb500a811c82e4d55318d686e01383c00e857b838a2db88919より前 | sha256:9cde560029ea98eb500a811c82e4d55318d686e01383c00e857b838a2db88919 |
libexpatライブラリについて
libexpatは、XMLデータを解析するためのC言語ライブラリだ。多くのアプリケーションで利用されており、その安定性と効率性から広く採用されている。
- XMLパーサーとして広く利用
- 多くのアプリケーションで依存関係
- 軽量で高速な処理が特徴
今回の脆弱性修正は、libexpatライブラリの信頼性とセキュリティの向上に大きく貢献するだろう。Red Hatは今後も継続的なセキュリティアップデートを提供し続けることが期待される。
CVE-2024-8176に関する考察
今回のCVE-2024-8176は、XML処理における深刻な脆弱性であり、迅速な対応が求められる。Red Hatによる迅速なパッチ提供は評価できる点だ。しかし、全てのユーザーが速やかにアップデートを行うとは限らないため、攻撃対象となるシステムが残存する可能性も考慮する必要がある。
今後、この脆弱性を悪用した攻撃が増加する可能性がある。そのため、企業は定期的なセキュリティ監査の実施や、脆弱性情報の迅速な把握と対応体制の構築が重要となるだろう。また、ユーザー教育によるセキュリティ意識の向上も不可欠だ。
将来的な対策としては、XML処理におけるより厳格なセキュリティチェック機能の追加や、攻撃検知システムの強化が考えられる。さらに、XMLデータの検証方法の改善や、代替ライブラリの検討も有効な手段となるだろう。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2024-8176」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-8176, (参照 2025-05-15).