
目次
記事の要約
- 奈良市がDX推進の進捗状況を可視化するダッシュボードを公開
- 行政手続のオンライン化84.8%達成、令和7年度中に全対応を目指す
- 自治体情報システム標準化も進捗、AI活用推進課を新設
奈良市DX推進の取り組み状況
奈良市は2025年5月13日、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の進捗状況を可視化する「DXダッシュボード」を庁内に公開した。このダッシュボードは、市民サービスの向上と業務効率化に向けた取り組みの進捗状況を把握し、共有することを目的としているのだ。
ダッシュボードには、行政手続のオンライン化、自治体情報システムの標準化、民間人材の登用、DXツールと生成AIの活用など、多岐にわたる取り組みの進捗状況が掲載されている。これらの取り組みは、市民サービスの向上と業務効率化に大きく貢献するものと期待されている。
奈良市は、デジタル技術の活用により、窓口の混雑緩和、職員の負担軽減、住民の利便性向上を目指している。令和6年度末時点で行政手続の84.8%(918件/1083件)をオンライン化し、令和7年度内の全手続対応完了を目指しているのだ。
さらに、自治体情報システムの標準化も積極的に推進しており、令和6年度末時点での進捗率は73.6%(中核市平均62.9%)と高い水準にある。主要業務システムの標準化により、持続可能で質の高い行政サービス提供を実現しようとしている。
奈良市DX推進の取り組み詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
行政手続オンライン化 | 令和6年度末時点で84.8%(918/1083件)達成、令和7年度中に全対応予定 |
自治体情報システム標準化 | 令和6年度末時点で73.6%達成(中核市平均62.9%)、住民記録・健康管理システムは既に標準化システムに移行済 |
民間人材登用 | 10年前から民間出身の専門人材を登用、CIOやDX推進専門職などが活躍 |
DXツール・生成AI活用 | RPA、AI-OCRなどを活用し業務効率化を推進、令和7年度にAI活用推進課を新設 |
キャッシュレス推進 | 窓口でのコード決済、クレジットカード、電子マネー対応、オンライン申請時にも対応 |
AI&リモート総合案内 | 市役所本庁舎1階に設置、FAQ数は1455個、月間平均600件程度の問合せに対応 |
業務平準化 | 業務マニュアル共有ツール、庁内FAQシステムを導入し、属人化解消を推進 |
DXツールと生成AIの活用について
奈良市では、業務効率化のため、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)、AI-OCR(人工知能光学文字認識)、音声テキスト化ツールなどのDXツールを導入している。これらのツールは、パソコンを使った手作業の自動化や、紙の申請書からのデータ変換などを可能にするのだ。
- RPAによる業務自動化
- AI-OCRによるデータ入力効率化
- 音声テキスト化ツールによる会議録作成効率化
さらに、今年度は「AI活用推進課」を新設し、生成AIの活用による抜本的な改革にも取り組むとしている。生成AIの活用により、市民サービスのさらなる向上と業務効率化が期待される。
奈良市DX推進に関する考察
奈良市のDX推進は、市民サービスの向上と業務効率化に大きく貢献するだろう。行政手続のオンライン化や自治体情報システムの標準化は、住民の利便性向上と職員の負担軽減に繋がる。しかし、システム移行に伴うトラブルや、デジタル化に不慣れな住民へのサポート体制の構築が課題となる可能性もある。
起こりうる問題への対策としては、十分なテスト期間を設け、システム障害への迅速な対応体制を整える必要がある。また、デジタルリテラシー向上のための研修やサポート体制の充実も重要だ。さらに、高齢者などデジタル機器に不慣れな住民への配慮も欠かせない。
今後、より高度なAI技術の活用やによる政策立案への活用などが期待される。市民参加型のデジタルガバナンスの構築も重要であり、市民からのフィードバックを積極的に取り入れ、より良い行政サービスを提供していくことが必要だ。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「DXにより利便性向上・業務効率化をさらに推進 | 奈良市役所のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000342.000036429.html, (参照 2025-05-15).