
目次
記事の要約
- IBMとSalesforceがIBM Z上の企業データ活用とエージェント型AI連携を発表
- 6月にIBM ZデータとSalesforce Agentforceの統合開始予定
- watsonx OrchestrateとAgentforce連携の事前構築済みセールスエージェントも開発中
IBMとSalesforce、IBM Zデータ活用とエージェント型AI連携を発表
IBMとSalesforceは2025年5月15日、IBM ZメインフレームとDb2データベース内の企業データを、SalesforceのAgentforceプラットフォーム上のエージェント型AIに活用するための新たな統合を発表した。この統合により、企業は既存のIBM Z上のデータをAIモデルの学習に活用できるようになるのだ。
この統合は6月に提供開始予定であり、AIエージェントは世界中のトランザクションの70%を占めるIBM Zメインフレームのデータにアクセスできるようになる。ゼロコピー技術により、データの移動やコピーなしで高速データ転送を実現する点が大きな特徴だ。
さらに、IBMはwatsonx OrchestrateとAgentforceの機能を統合した、事前構築済みのセールス・エージェント群の開発でもSalesforceと協業している。見込み顧客エージェントは、営業担当者の見込み顧客開拓を支援する機能を提供する予定だ。
また、IBM watsonx Employee Support Agentは、Slackを通じて人事に関する問い合わせに対応するAIエージェントとして6月に提供開始予定である。IBMは過去3年間の人事向けエージェント運用で培ったノウハウを活用しているのだ。
IBM ZとSalesforce Agentforce統合の詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
統合開始予定日 | 2025年6月 |
対象データ | IBM Zメインフレーム上のデータ、Db2データベース |
連携プラットフォーム | Salesforce Agentforce |
技術 | ゼロコピーデータ転送 |
対象業界 | 特に銀行や金融サービスなどの規制の厳しい業界 |
セールスエージェント提供予定時期 | 数ヶ月以内 |
Employee Support Agent提供予定時期 | 2025年6月 |
エージェント型AIとwatsonx Orchestrate
エージェント型AIは、自律的にタスクを実行するAIプログラムだ。Salesforce Agentforceは、こうしたエージェントを管理・連携させるプラットフォームである。
- 自律的なタスク実行
- 複数エージェントの連携
- 業務効率化への貢献
watsonx Orchestrateは、IBMのAI開発プラットフォームであり、Agentforceとの連携により、企業データに基づいた高度なエージェント構築が可能になるのだ。
IBMとSalesforceの連携に関する考察
IBMとSalesforceの連携は、企業データの活用とAI導入を促進する上で大きな意義を持つ。IBM Z上の既存データ資産をAIに活用できるようになることで、企業は新たなビジネス価値の創出や業務効率化を実現できるだろう。しかし、データセキュリティやプライバシー保護といった課題への対応も重要となる。
今後、データのセキュリティとプライバシーの確保、そしてAIエージェントの精度向上のための継続的な学習データの確保が課題となるだろう。これらの課題を解決するためには、データガバナンスの強化や、高品質なデータの継続的な供給体制の構築が必要となる。
さらに、様々な業種や業務プロセスへの適用可能性を検証し、より多くの企業が容易に導入できるよう、ユーザーインターフェースの改善や導入支援体制の強化も重要だ。IBMとSalesforceの今後の取り組みによって、AI活用によるビジネス変革が加速していくことが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「IBMとSalesforce、IBM Z上で企業データの有効化と、エージェント型 AIに自社データを活用するための新たなエージェントを発表 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000636.000046783.html, (参照 2025-05-15).