
目次
記事の要約
- 生成AI搭載音声入力/OCRカルテアプリ「SpeechER」のトライアル開始
- 牧田総合病院で救急外来を中心にトライアル実施
- 音声入力による診療記録入力時間最大70%削減を目指す
生成AI搭載音声入力/OCRカルテアプリ「SpeechER」トライアル開始
TXP Medical株式会社は2025年5月3日、生成AIを活用した音声入力カルテアプリ「SpeechER」のトライアル運用を、社会医療法人財団仁医会 牧田総合病院にて開始したと発表した。年間救急車台数6000台超の同病院において、医療従事者の業務負担軽減と医療の質向上を目指す取り組みだ。
「SpeechER」は、音声入力とOCR機能を備え、生成AIが診療記録に必要な情報を構造化・変換する。スマートフォンへの音声入力や画像撮影だけで、適切な記録フォーマットに変換されるため、診療記録の入力時間を最大70%削減できるとしている。医師や看護師の業務効率化に大きく貢献するだろう。
本トライアルでは、救急外来での医師、救命士9名(常勤)、看護師20名+夜勤専従の非常勤2名により、「SpeechER」の現場への適合性や、既存システム「NEXT Stage ER」との連携によるデータの質と利活用可能性を検証する。トライアルの結果次第では、更なる医療機関への展開が期待される。
都市部の救急外来では、限られた時間内に高頻度の患者対応と記録作業を並行して行う必要があり、医療従事者の記録業務の負担が深刻化している。SpeechERは、この課題解決に貢献する可能性を秘めているのだ。
「SpeechER」の機能と特徴
機能 | 詳細 |
---|---|
音声入力 | 医療現場での自由発語から必要情報を抽出・構造化し、所定の記録フォーマットへ自動整形 |
医療用語変換 | 医療関連略語・専門用語も文脈に応じて適切に処理する独自の医療辞書を搭載 |
OCR機能連携 | 紹介状・お薬手帳、モニターなどを撮影画像から文字変換 |
セキュリティ | 国内法準拠の生成AI利用、QRコードを用いた電子カルテへのオフライン連携 |
多言語機能 | 診察室における外国人対応に特化したUI、英語以外にも対応可 |
生成AIの医療現場への応用
「SpeechER」は、生成AI技術を活用することで、医療現場における記録業務の効率化を実現する。従来の音声入力アプリでは、事前にカルテ記載に適したフォーマットを意識した入力が必要だったが、「SpeechER」では生成AIが自動で重要な情報を抽出・構造化・整形する。
- 記録時間の短縮
- 医療従事者の負担軽減
- 医療の質向上への貢献
これにより、医療従事者はより多くの時間を患者へのケアに充てることが可能になるだろう。
SpeechERトライアルに関する考察
SpeechERのトライアルは、医療現場における生成AI活用の有効性を検証する上で重要な取り組みだ。音声入力による記録効率化は、医師や看護師の負担軽減に繋がり、ひいては医療の質向上に貢献する可能性を秘めている。しかし、導入にあたっては、データセキュリティやプライバシー保護といった課題への対策が不可欠である。
システムの精度向上や、多様な医療現場への対応も重要な課題となるだろう。例えば、専門用語の認識精度向上や、異なる医療機関のシステムとの連携性の確保などが挙げられる。これらの課題をクリアすることで、SpeechERは医療DXを推進する上で重要な役割を果たすだろう。
今後、SpeechERが更なる機能強化や他医療機関への展開を進めることで、医療現場における業務効率化と医療の質向上に大きく貢献することが期待される。医療従事者の負担軽減と患者への質の高い医療提供という両立を実現できるか、今後の展開に注目したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「生成AI搭載の音声入力/OCRカルテアプリ「SpeechER」、牧田総合病院にてトライアルを開始 | TXP Medical株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000031630.html, (参照 2025-05-15).