川崎重工ら、航空貨物自動デパレタイズシステム開発を発表　8軸ロボットとAIで人手不足解消へ

PR TIMES より

記事の要約

• 川崎重工、川重岐阜エンジニアリング、リモートロボティクスが航空貨物自動デパレタイズシステムを開発
• 8軸ロボットと3DビジョンAIカメラ、遠隔操作技術を活用したシステム
• 成田空港で実証試験に成功し、航空貨物の人手不足解消に貢献

航空貨物自動デパレタイズシステム開発に関する発表

川崎重工、川重岐阜エンジニアリング、リモートロボティクス3社は2025年5月15日、航空貨物用パレットからの貨物荷下ろし作業を自動化するシステムを開発したと発表した。このシステムは、川崎重工の8軸ロボットと独自の制御ロジック、リモートロボティクスの遠隔操作技術を活用しているのだ。

2025年2月には日本航空株式会社／株式会社JALカーゴサービスの協力を得て、成田空港で実証試験を実施し、自動荷下ろしの成功を確認している。EC拡大と労働人口減少による航空物流業界の人手不足を背景に、開発されたシステムは、従来の6軸ロボットでは困難だった大型パレットからの荷下ろしを可能にしたのだ。

実証試験では、8軸ロボットに搭載された3DビジョンAIカメラで荷物の位置を認識し、自動で荷下ろしを行う一連の作業を実施した。また、リモートロボティクスの遠隔操作サービス「Remolink」を用いて、人がリモート環境から作業を支援できるかどうかも検証した。その結果、8軸ロボットと独自の制御ロジック、遠隔操作技術の組み合わせにより、航空貨物のデパレタイズ作業の自動化が可能であることを確認したのだ。

開発企業と技術概要

8軸ロボットと遠隔操作技術

本システムの中核を担うのは、川崎重工が開発した長いアームを持つ8軸ロボットだ。従来の6軸ロボットでは困難だった、航空貨物用パレットという大型サイズの荷物への対応を可能にした。

• 広い可動範囲
• 複雑な形状の荷物への対応
• 高精度な動作

さらに、リモートロボティクス社の遠隔操作サービス「Remolink」により、AIによる自動判定が困難な場合でも、遠隔からオペレーターが作業を支援できるようになっている。これにより、システムの信頼性と柔軟性が向上しているのだ。

航空貨物自動デパレタイズシステムに関する考察

本システムは、航空物流業界の人手不足という喫緊の課題に対する有効な解決策となる可能性を秘めている。3DビジョンAIカメラと8軸ロボットの組み合わせによる自動化は、作業効率の大幅な向上と人件費削減に繋がるだろう。しかし、システム導入には初期投資が必要であり、導入コストの回収期間やROI（投資収益率）の算出が重要となる。

また、システムの安定稼働には、AIによる認識精度の向上と、遠隔操作システムの信頼性確保が不可欠だ。予期せぬトラブル発生時の対応マニュアルの整備や、熟練オペレーターによる遠隔サポート体制の構築も必要となるだろう。さらに、様々な形状やサイズの荷物に対応できるよう、AIの学習データの充実やロボットアームの改良も継続的に行っていく必要がある。

将来的には、システムの機能拡張や他システムとの連携による更なる効率化が期待される。例えば、荷物の仕分けや搬送システムとの統合、倉庫管理システムとの連携などが考えられる。これにより、航空貨物全体の物流プロセスを最適化し、更なる省人化を実現できる可能性があるのだ。

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