
目次
記事の要約
- コダシップがCHERI採用を加速するCodasip Primeを発表
- Codasip X730をベースとした探索プラットフォーム
- メモリ安全なソフトウェアの先行開発が可能に
コダシップはCHERIの採用を加速する完全な探索プラットフォームを発表
ヨーロッパのRISC-VリーダーであるCodasipは、CHERI(Capability Hardware Enhanced RISC Instructions)を統合したCodasip X730アプリケーションコアをベースとした探索プラットフォーム「Codasip Prime」を2025年4月29日に発表した。このプラットフォームは、最先端のメモリ安全コンピューティングを実現するためのプレシリコンハードウェアおよびソフトウェア開発キットを提供する。
Codasip Primeは、市販のIPをベースにしており、メモリセーフでセキュアなソフトウェアの先行開発を可能にする。ハードウェアおよびソフトウェアエンジニアは、このプラットフォームを利用することで、CHERIテクノロジの機能を評価・実証し、CHERIソフトウェアを開発・実行し、CHERIハードウェアをより広範なテストシステムに統合することが可能になるのだ。
Codasip Primeは、高性能FPGA(フィールド プログラマブル ゲートアレイ)システムに実装されたプロセッサとペリフェラル、そして完全なソフトウェア開発キットで構成されている。これにより、開発者はチップが製造される前にアプリケーションを開発・評価することができ、CHERIの専門家によるエンジニアリングサポートも提供される。
Codasip Primeの主な構成要素
構成要素 | 詳細 |
---|---|
プロセッサ | Codasip X730 64ビットRISC-V CHERI Application CPU |
ペリフェラル | ペリフェラルおよびシステムIP |
セキュリティIP | セキュアブートおよびセキュアデバッグ用(真性乱数発生器、テストアクセスポート保護ユニット) |
CHERI専用IP | DDRメモリのCapabilityタグ管理 |
ソフトウェア | CHERI Linux、コンパイラとデバッガを含むCHERI C/C++ツールチェーン |
CHERIについて
CHERI(Capability Hardware Enhanced RISC Instructions)は、メモリ安全性の問題を効果的に防止するための技術だ。主な特徴は以下の通りである。
- メモリ安全性の脆弱性を保護
- 下位互換性があり安全なコードへの移行を可能
- C/C++のメモリ安全を実現
CHERIは、サイバー攻撃チェーンの約87%で悪用されるメモリ安全性の脆弱性から保護するためのコスト効率の高い方法を提供する。また、既存のコードとの互換性を保ちつつ、より安全なコードへの移行を容易にし、コストのかかるソフトウェアのリファクタリングを回避できる。
Codasip Primeに関する考察
Codasip Primeの発表は、メモリ安全性が重視される現代のコンピューティング環境において、大きな意義を持つと言えるだろう。特に、コンシューマー、自動車、防衛関連企業など、セキュリティが重要な分野でのCHERIの採用を加速させる可能性を秘めている。
今後の課題としては、CHERI技術の普及と標準化が挙げられる。そのためには、CHERI Allianceのようなコミュニティとの連携を強化し、RISC-VのCHERI拡張機能の標準化を推進していく必要があるだろう。また、開発者がCHERI技術を容易に利用できるよう、より使いやすい開発ツールやドキュメントの提供も重要になるはずだ。
今後は、Codasip Primeのようなプラットフォームが、セキュリティ意識の高い企業や開発者にとって不可欠なツールとなることが期待される。そして、より安全で信頼性の高いコンピューティング環境の実現に貢献していくことが期待されるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「コダシップはCHERIの採用を加速する完全な探索プラットフォームを発表 | Codasip GmbHのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000099181.html, (参照 2025-05-01).