東芝デジタルソリューションズが現況降雨量サービス開始、250m四方ごとの詳細データで安全確保を支援

記事の要約

  • 東芝デジタルソリューションズが「現況降雨量サービス」を提供開始
  • 250m四方ごとの詳細な降雨量データをリアルタイムに提供
  • 鉄道や道路などへの降雨影響を的確に判断し、安全確保を支援

東芝デジタルソリューションズが現況降雨量サービスを提供開始

東芝デジタルソリューションズ株式会社は、2025年4月25日より、現在の降雨状況をリアルタイムに把握できる「現況降雨量サービス」の提供を開始した。このサービスは、250m四方ごとの詳細な降雨量データを提供することで、鉄道や道路などの公共交通機関や社会インフラの運営・管理を行う事業者や自治体向けに、降雨が与える影響を的確に把握し、設備の円滑な運用と安全の確保を支援するものだ。

近年、ゲリラ豪雨とも呼ばれる予測困難な局地的な大雨が増加傾向にあり、公共交通や社会インフラへの浸水や土砂崩れによる被害が課題となっている。各事業者や自治体は、地上雨量計を設置して降雨量を観測することで影響度を判断しているが、設置費用や場所の制約から、突発的、局所的な降雨の正確な把握が困難だった。

今回提供を開始する「現況降雨量サービス」は、気象レーダの観測データを基に、東芝独自のデータ解析技術を用いて広域的な降雨状況を解析し、降雨の範囲や雨の強さを測定することで、特定地点の現在の降雨量をリアルタイムに算出する。顧客は地上雨量計などの設備を持つことなく、250m四方に分割された細かなエリアごとの降雨量の取得が可能なため、降雨による影響や損害を最小限に抑えることができる。

現況降雨量サービスの主な特徴

項目詳細
広域エリアの把握気象レーダの観測データを解析し、広域エリアの現況降雨量を把握
特定地点の情報提供250m四方毎の細かいメッシュで特定地点の現況降雨量データを提供
地上雨量計の代替地上雨量計を増設せずに特定地点の現況降雨量を把握
気象庁ウェブサイト 予報業務の許可事業者一覧(気象・波浪)

気象レーダについて

気象レーダとは、電波を用いて雨や雪などの降水現象を観測する装置のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

  • 広範囲の降水状況をリアルタイムに把握可能
  • 降水強度や降水範囲を面的に観測可能
  • 地上雨量計では捉えきれない局地的な降雨も検出可能

気象レーダは、降水現象の早期把握や予測精度の向上に不可欠なツールであり、防災・減災対策に大きく貢献する。東芝デジタルソリューションズの「現況降雨量サービス」は、この気象レーダの観測データを活用し、より詳細な降雨情報を提供することで、公共交通機関や社会インフラの安全確保を支援する。

現況降雨量サービスに関する考察

東芝デジタルソリューションズが提供を開始した「現況降雨量サービス」は、250m四方ごとの詳細な降雨量データをリアルタイムに提供することで、公共交通機関や社会インフラの運営・管理における降雨対策を支援する点で非常に有益だ。地上雨量計の設置場所や費用に関する制約を解消し、局地的な豪雨にも対応できるため、より迅速かつ的確な判断が可能になるだろう。

今後の課題としては、サービスのカバー範囲の拡大と、データ精度の向上が挙げられる。離島や一部エリアで利用できない場合があるため、XRAINのカバー範囲に準じたサービスエリアの拡大が望まれる。また、気象レーダの観測データに基づく解析技術のさらなる高度化により、予測精度の向上も期待されるだろう。

将来的には、AI技術との連携により、降雨予測に基づいた最適な運行管理や設備保全計画の策定など、より高度な防災・減災ソリューションへの発展が期待される。また、収集した降雨データをオープンデータとして公開することで、地域住民の防災意識向上や地域経済の活性化にも貢献できる可能性があるだろう。

参考サイト/関連サイト

  1. TOSHIBA.「現況の降雨状況をリアルタイムに把握する「現況降雨量サービス」を提供開始 | 東芝」.https://www.global.toshiba/jp/news/digitalsolution/2025/04/news-20250425-01.html, (参照 2025-05-02).