
目次
記事の要約
- 日本生協連が「生協の2030環境・サステナビリティ政策」を改訂
- 人権尊重と生物多様性保全の推進を強化
- サプライチェーン排出量の削減に向けた取り組みを開始
日本生協連、サステナビリティ政策を改訂
日本生活協同組合連合会(日本生協連)は2025年5月1日、「生協の2030環境・サステナビリティ政策」を改訂し、公開した。この政策は全国の生協で推進されており、今回「気候変動対策」「人権尊重」「生物多様性保全」の3点を強化したのだ。
改訂のポイントとして、気候変動対策ではサプライチェーン排出量の削減に向け、全国の生協で算定を開始することが挙げられる。2030年までに2013年度比でCO2排出量を50%以上削減、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指すとしている。人権尊重については、バリューチェーン全体において人権尊重の取り組みを推進し、人権デュー・ディリジェンスを実施するとしている。
生物多様性保全では、組合員の環境活動や認証商品の調達により、ネイチャーポジティブの実現を目指すとしている。事業と活動の両面から生物多様性保全を推進し、第三者認証をはじめ環境に配慮した原材料の調達、調達方針や目標の設定を行うのだ。持続可能な生産と、環境に配慮した生協産直の推進、動植物の保全につながる商品プロジェクトの展開も予定している。
日本生協連は全国の生協とともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組むとしている。
改訂内容詳細
項目 | 見直し前 | 見直し後 |
---|---|---|
人権尊重 | サプライチェーンを通して、人権を尊重し環境に配慮した「責任ある調達」を進めます | バリューチェーン全体において人権尊重の取り組みを進めます |
人権尊重モニタリング指標 | 持続可能な調達方針を策定・公表した生協数 | 人権方針を策定・公表した生協数 「責任ある調達」方針を策定・公表した生協数 |
人権尊重取り組み | 商品調達に関わる環境・人権リスクの把握と特定 持続可能な資源利用と人権尊重を考慮した指針・方針の整備と改訂 商品のサプライチェーン上で生じる人権問題に関する学習会 | 人権方針の策定 人権デュー・ディリジェンスの実施 「責任ある調達」の推進 |
生物多様性保全 | 組合員とともに環境保全活動を推進し、自然共生社会の実現を目指します | 自然の豊かさを未来につなぐ環境保全活動と、生物多様性保全に向けた事業を進めます |
生物多様性保全取り組み | 森づくりや海岸クリーンアップ、教育機関、自然体験など環境保全活動の実施 若者や子どもを対象とした環境教育の実施 | 森づくりや海岸クリーンアップ、自然体験など環境活動の実施 第三者認証をはじめ環境に配慮した原材料の調達、調達方針や目標の設定 持続可能な生産と、環境に配慮した生協産直の推進 動植物の保全につながる商品プロジェクトの展開 |
人権デュー・ディリジェンスについて
人権デュー・ディリジェンスとは、企業が自社の事業活動やサプライチェーンにおいて人権侵害のリスクを特定、評価、防止するための取り組みのことだ。これは、人権侵害を予防し、責任ある事業運営を行う上で重要な要素である。
- 人権リスクの特定と評価
- 人権侵害の防止策の実施
- 人権侵害への対応
日本生協連は、組合員、職員、取引先とともに人権の学習を進め、人権デュー・ディリジェンスを実施することで、バリューチェーン全体における人権尊重を推進するとしている。
日本生協連のサステナビリティ政策改訂に関する考察
今回の改訂は、気候変動対策、人権尊重、生物多様性保全という重要な課題への取り組みを強化した点で評価できる。特にサプライチェーン全体でのCO2排出量削減目標の設定や人権デュー・ディリジェンスの実施は、企業の社会的責任を果たす上で大きな一歩となるだろう。しかし、目標達成には、各生協の積極的な取り組みと、サプライヤーとの連携が不可欠だ。
今後、目標達成に向けた進捗状況の透明性確保が重要となる。定期的な報告や情報公開を通じて、ステークホルダーとの信頼関係を構築していく必要がある。また、サプライチェーン全体での取り組みには、中小企業を含む多くの関係者の協力を得ることが必要となるため、支援体制の構築も課題となるだろう。
さらに、消費者の意識向上も不可欠だ。環境や人権に配慮した商品を選ぶ消費者が増えることで、企業の取り組みも加速するだろう。日本生協連は、消費者への啓発活動にも力を入れていく必要がある。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「日本生協連、全国生協とともに人権尊重と生物多様性保全の推進を加速 | 日本生活協同組合連合会のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000081.000040982.html, (参照 2025-05-02).