目次
記事の要約
- Apache Tomcatの脆弱性CVE-2025-31650が公開された
- 不正なHTTP/2 PRIORITY_UPDATEフレームによるDoS攻撃が可能
- 9.0.76~9.0.102、10.1.10~10.1.39、11.0.0-M2~11.0.5が影響を受ける
Apache Tomcatにおける脆弱性CVE-2025-31650
Apache Software Foundationは2025年4月28日に、Apache Tomcatにおける脆弱性CVE-2025-31650を公開した。この脆弱性は、不正なHTTP/2 PRIORITY_UPDATEフレームを処理する際のエラーハンドリングに問題があり、メモリリークを引き起こす可能性があることが判明したのだ。
メモリリークにより、大量の不正なリクエストを受け付けるとOutOfMemoryExceptionが発生し、サービス運用不能(DoS)に陥る可能性がある。この脆弱性はApache Tomcatのバージョン9.0.76から9.0.102、10.1.10から10.1.39、11.0.0-M2から11.0.5に影響を与えることが確認されている。
Apache Software Foundationは、この問題を修正したバージョン9.0.104、10.1.40、11.0.6へのアップデートを推奨している。ユーザーは速やかにアップデートを実施し、DoS攻撃のリスクを軽減する必要があるのだ。
影響を受けるApache Tomcatバージョンと対策
バージョン | 影響 | 対策 |
---|---|---|
9.0.76~9.0.102 | 影響を受ける | 9.0.104へアップデート |
10.1.10~10.1.39 | 影響を受ける | 10.1.40へアップデート |
11.0.0-M2~11.0.5 | 影響を受ける | 11.0.6へアップデート |
HTTP/2 PRIORITY_UPDATEフレームについて
HTTP/2 PRIORITY_UPDATEフレームは、HTTP/2プロトコルにおいて、ストリームの優先順位を変更するために使用されるフレームである。このフレームを不正に操作することで、サーバー側のリソースを消費させ、サービス運用不能(DoS)攻撃を誘発する可能性がある。
- ストリームの優先順位制御
- リソース管理への影響
- DoS攻撃への悪用可能性
適切な入力検証とエラー処理を行うことで、この脆弱性を防ぐことが可能だ。開発者は、HTTP/2フレームの処理において、入力値の妥当性を厳格に検証する必要がある。
CVE-2025-31650に関する考察
Apache Tomcatの脆弱性CVE-2025-31650の修正は、迅速なアップデートによってDoS攻撃のリスクを軽減できる点で非常に重要だ。しかし、全てのユーザーが速やかにアップデートを実施するとは限らないため、攻撃対象となるシステムが残存する可能性も考慮する必要がある。
今後、この脆弱性を悪用した攻撃が増加する可能性がある。そのため、セキュリティ監視システムの強化や、攻撃検知・防御システムの導入が不可欠となるだろう。また、アップデートが困難な環境においては、アクセス制御などの対策を講じる必要がある。
Apache Tomcatの開発チームには、より堅牢なエラー処理機構の構築や、脆弱性発見のための継続的なセキュリティ監査の実施が期待される。迅速な対応と継続的な改善によって、ユーザーの安全を確保することが重要だ。
参考サイト/関連サイト
- CVE.「CVE Record: CVE-2025-31650」.https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-31650, (参照 2025-05-08).